試合結果8月

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トップ・オブ・ツインスタートーナメント組み合わせ表


8月6日(水) 京都府福知山市三段池公園総合体育館
 第1試合開始前にリング上に姿を現すREIKO。
REIKO「まずはこの映像を見て頂戴」
 REIKOがそう言うとスクリーンに映像が映し出される。

 WWPL事務所に姿を見せるロナ。
 ソファに座って雑誌を斜め読みしているREIKOの前に立つ。
ロナ  「ハイ! 優雅に読書とは良いご身分ね」
 ロナがREIKOに声をかける。
 面白くもなさそうに、視線だけを上に向けロナを見るREIKO。
REIKO「他所の会社に来るのに菓子折りくらいもってきなさいよ、礼儀知らず」
ロナ  「他所? この会社の無差別級チャンピオンはいったい誰なのかしら?」
REIKO「‥‥ふん! なに? なにか用があるから来たんでしょ」
ロナ  「ええ。当然の要求をするためにね。私にWWPLのQOJ代表枠ををよこしなさい」
REIKO「あのねぇ、なんで外様のあんたに貴重な出場枠上げなきゃいけないのよ」
ロナ  「トップが出るのがスジでしょう。いい? ここのトップは無差別チャンプのこの私、ロナ・ヴァン・ダムなのよ」
REIKO「ジュニアの王者はあたしよ」
ロナ  「無差別とジュニア、どっちが上なのかしら?」
 すさまじいまでの視察戦を交わすロナとREIKO。
REIKO「‥‥分かったわよ。枠を用意しておくわ。それなら文句はないんでしょ、チャンプ」
ロナ  「最初からそう言えばいいの」
REIKO「はあ、偉そうに…。8月最初の興行で発表するわ。はい、用事が済んだら帰った帰った」
ロナ  「楽しみにしてるわ」

 ここで映像が終了。
REIKO「まあ、そういう理由で不本意ながらロナの出場枠を用意してあげた訳よ。…もちろん、予選のね!」
 笑いの漏れる客席の間を突っ切って、姿を現すロナ。本部席のマイクをひったくる。
ロナ   「予選ってどういう事! 私は代表枠をよこせと言ったのよ!」
REIKO「そうだっけ? まあちょっとした手違いなんだから、そんな目くじら立てないでよ」
ロナ   「白々しい! 最初からそのつもりだったわね!?」
REIKO「手違いだって言ってるでしょうが。 あ、分かった、予選突破の自信がないんだ?」
ロナ   「私を誰だと思っているの? 予選なんか確実に制するに決まってるわ」
REIKO「じゃあ、問題ないわよね? やっぱり無理だから恥をかかないうちに辞める?」
ロナ   「そこまで言うならやってやろうじゃない。予選で十分よ」
REIKO「オッケー。 頑張ってね、チャンピオン?」
 にやりと笑みを浮かべて退場していくREIKO。
 ロナも、釈然としない様子ながら引き上げていった。



第1試合20分一本勝負
カーシャ・イワノヴナ
(15分7秒、ノーザンライトプレス)
×ソフィーヤ・パーリィ(EWA)

第1試合らしい静かな立ち上がりから、徐々にパーリィの化粧品攻撃が繰り出されはじめる。ファンデーションの目つぶしからジャーマンスープレックスを放ったパーリィだが、カーシャはこれを大きく宙返りをして着地、すぐさまロープに跳んで強烈なドロップキックで反撃。サンダードラゴンドライバーからノーザンライトプレスへ繋ぎ、パーリィ相手のシングル連勝。

ソフィーヤ・パーリィ「まあ70点で合格ってところかしら? そろそろこっちが引っぱってあげなくてもよさそうね、カーシャも。今度は反則負けでも狙ってみようかしら」



第2試合3WAYタッグマッチ30分一本勝負
芹沢すずな松井香織
ファニー・ライトニング(SPWA)坂倉宏子(KIZUNA)
神西志乃木佐深月(A☆F)

坂倉宏子(16分45秒、スパルタカス・ボム)木佐深月×

ライトニングと坂倉は余り物のようなカードにやや不満の表情も、試合になれば関係無しと全力で暴れ回る。ダブルドラゴンがあまり動きを見せない中ライトニングが芹沢を挑発するが、芹沢敢えてこれを無視し神西と絡んでいく。松井の掌底で動きの止まった木佐を坂倉が沈めて試合を決めた。

坂倉宏子 「今月はしょうがないでしょ。個人の思惑よりもプロレス界全体の流れが大事だから」

ファニー・ライトニング「ふん。ま、あんなすまし顔出来るのも今のうちだけよ」

木佐深月「試合の流れも何もあったもんじゃないわね。でも好き勝手してられるのも今のうちだけよ……その前に神西を何とかしないといけないような気もするけど」



第3試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
×サイフィス真美【1敗】
(8分54秒、ウルトラ・ウラカン・ラナ)
セラフィム・レイ【1勝】

QOJのWWPL枠、残る2枠をかけたリーグ戦。まずはセラフィム・レイとサイフィス真美が激突。サイフィス真美は昨年代表として出場して不本意な成績で終わっている。雪辱のためにも、今年も出場権をもぎ取りたい。セラフィム・レイはこれに勝ち残れば当然初出場。大会には強いタイプであるため、前評判も上々である。
ルチャらしい細かいロープワーク、ホイップ合戦からスタート。真美のスピードに翻弄されるレイだが、隙をついた丸め込みを多用して真美の流れを断ち切っていくことで互角に試合を展開する。真美の白竜疾風脚でエプロンまで転がっていったレイ。真美は場外に叩き落とそうと助走をつけて突進するが、レイがロープに飛び乗るとそのまま真美に飛びついてウラカン・ラナ・インベルティダ。高速で回転し丸め込まれた真美、肩を上げたのは3カウントが入った後。
ガッツポーズをしてリング上を飛び跳ねるレイ。ショックを隠しきれない真美との差が対照的であった。
セラフィム・レイ「いやっほーい!この調子で代表入りを目指すからね!みんな、応援お願いしまーっす!」



第4試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
ロナ・ヴァン・ダム(SPWA)【1勝】
(14分23秒、ファイブスター・フロッグスプラッシュ)
×ブラック・ブリザード(KIZUNA)【1敗】

代表決定戦第2試合。REIKOの陰謀によって予選からの出場となったロナ・ヴァン・ダムと、ブラック・ブリザードが激突。同年デビューであるレイの勝利にさらに燃えるか、ブラック・ブリザード。
しかし無差別王座を奪い取ったヴァン・ダムの実力はフロックではなかった。ブラックの掌打を受けてふらつきながらも倒れることなく反撃。場外に引っ張り出してヴァンドミネイターを出すなど、完全にペースを握る。最後は余裕を残してしかし力の差を見せつけるようにファイブスター・フロッグスプラッシュで試合を決めた。

ロナ・ヴァン・ダム 「あんの女、人のことなめまくってるわね。いまいましい!」

ブラック・ブリザード 「流れを握っている人、相手ですからね。しょうがないでしょう」



第5試合TTT1回戦第1試合60分一本勝負
ディアナ・アームストロング&○インフェルナルREIKO<ファニーウイングス(WWPL)>
(17分10秒、インフェルノスプラッシュ)
×ジャネット・ハーディマルチナ・ハーディ<ハーディシスターズ(WWRP)>

タッグナンバーワンを決める大会、TTTが開幕。主催団体の選手が開幕戦に登場というのも何かの因縁か。ファニーウイングスに対するは、WWRPの売り出し中タッグチーム、ハーディシスターズ。姉妹の絆が勝るか。
姉・マルチナとディアナで始まった試合は意外にも四つに組み合ってのポジション争いから。背後の取り合いを制したマルチナがバックドロップで先制する。さらにグラウンドに移行しようとするところ、REIKOが入ってマルチナにストンピングを一撃。ディアナと共にダブルブレンバスターを放って流れを引き寄せていく。
連携の上手さ、グラウンドレスリングの腕は魅せたハーディシスターズだったが、徐々に地力でファニーウイングスが押しはじめる。ディアナのラリアットからREIKOがインフェルノスプラッシュで開幕勝利を飾った。

インフェルナルREIKO 「どう?これがファニーウイングスの力よ!最強のタッグの称号、いただくからね!」
ディアナ・アームストロング 「パワーも身軽さもテクニックも中途半端。それでこのファニーウイングスに勝てるはず無いのよ。当然の結果ね」



第6試合TTT1回戦第2試合60分一本勝負
×小川ひかり秋川潤<(WARS☆R)>
(17分28秒、シュープリームサンダー・ドラゴンボム)
星野真琴影山真琴<シャドウスターズ(DIA)>

TTT第2試合はWARS☆R代表の小川、秋川組vsDIA代表、シャドウスターズ。
気合いが入った表情の星野が先発を買って出る。小川と腕の取り合いから、小川をロープに振ってのキチンシンクを決めて大きくアピール。さらに逆エビ固めを狙って近づくが、小川がこれを素早く切り返してグラウンドに引きずり込む。ねちこく体力を削られる星野を見て、影山がすかさずカットに入る。影山は星野にチェーンを渡すと、自らは小川をトラースキックで動きを止める。そしてそこに星野のチェーンラリアット。小川、マットに串刺しとなる。さらに攻め立てようとするSSだが、秋川が二人に強烈な逆水平を叩き込んで小川を救出する。
ラフな攻撃を多用して試合の流れを掴むのはSS。しかしWARS組もベテランコンビ、簡単に決めさせず秋川がエクスプロージョン(エクスプロイダー)で影山を放り投げ、カウント2.8まで追い込む。この流れの中、試合を決めたのは星野。影山が秋川をチェーンでコーナーに縛り付けている間に、ダメージの大きい小川をここ一番のフィニッシュ、旋回式スプラッシュマウンテン「シュープリームサンダー・ドラゴンボム」で一回戦突破。

星野真琴 「いいか、あたしたちは本気だ! このトーナメント、本気で優勝する。誰が来ようと関係ない。ヘビー級最強のタッグは、このあたしと、影山真琴のチーム・シャドウ・スターズ! それを証明するために、やってきたんだからな!」



第7試合30分一本勝負
水瀬沙夜望月登子高村あかね(KIZUNA)荒谷久美(KIZUNA)
(17分58秒、タイガースープレックスホールド)
川部雪江渡辺智美MACHIKO&×ラブリーベル

荒谷&水瀬組と、ベル&川部組がTTT一回戦で激突することになっているため、前哨戦ともいえる試合。
Bコネの派手な入場シーンに歓声が飛ぶ中、エクストリームストームの面々が途中で襲撃をかける。場外でESはBコネを椅子で殴り、机に叩き付けていく。Bコネも、リングの下からブルーボックスを取り出して反撃。乱闘状態の中リングに立つベルと荒谷。
細かい動きを多用して荒谷を攪乱しようとしていくベル。正攻法では確かに実力差が大きい。間合いを取っての動きで主導権を握りかけるが、荒谷の逆水平連打で動きが止められてしまうベル。ようやく他のメンバーもエプロンに戻り、通常の試合に。
先手を取っていったESサイド、Bコネの反則攻撃にも押し込まれる場面も見られたが全体的には優勢。水瀬がベルをタイガースープレックスで沈めた。
珍しく水瀬がマイクを要求すると、「本番でも、同じくタイガースープレックスで勝負を決めさせて貰います」とアピールしていた。

高村あかね 「タッグトーナメントはあかねたちがQOJに続いていただくから! 前哨戦なんて無意味。どっちが来ても叩き潰すから!!」

荒谷久美 「トーナメント取って巻き返すから。タッグチャンピオンとしてね。今日、水瀬が取ったのは大きいから。全員がかりで勝てないやつらなんて目じゃないから!!」


ラブリーベル 「本番で勝てばいいことですわ。この程度の勝利でいい気になるなんて、可愛いですわね水瀬さんは」
川部雪江 「勢いはあるみたいですけどね、その勢いが命取りとなることもあるんですよ」

8月8日 二軍自主興行 鳥取県白兎海岸特設会場
台風により延期

8月12日(火) 大阪府大阪ドームスカイホール

 時間になると会場の照明が暗くなり、スクリーンに映像が映し出される。
 それは、好評のうちに放送を終了した(ややマイナーな)特撮変身ヒロイン物番組「時空女神(じくうじょしん)フレイヤ」のオープニングであった。
 曲が終わると、番組の映像に合わせたナレーションが流れる。
ナレーション「あらゆる時空支配をたくらむ悪の帝国、時空帝国。その魔の手が地球に伸びたとき、ノーザンライトの導きを得た少女時任あずさは時空女神フレイヤに変身する能力得てこれを迎え撃った。激しい戦いの末、あずさは変身能力と引き替えに時空皇帝アルベリッヒの封印に成功する。しかし・・・」
 最終回の皇帝封印シーンの後、画面が暗転。暗闇から響く声。
時空皇帝「忌々しきはあの小娘よ。だが、これしきの封印で朕を封じたなどとは片腹痛い。ふぉっふぉっふぉ、聞こえるぞ、朕の力を求める者の声が…」
 徐々に明るくなってゆく画面。そして映し出されたそこは。
団員達「べんとら〜べんとら〜。えこえこあざらくえこえこざめらく。じゅげむじゅげむ……」
 よく分からない謎の呪文を唱える男達が、大きな何かに対して祈りを捧げていた。そう、そこは。
マスクド・ジェラシー1号「わーはははははは!祈れ!唱えよ!我に新たなる力を!」
 そこは、Sitto団秘密アジトである!
マスクド・ジェラシー1号「今度こそ!今度こそ我らが悲願を成し遂げるのだ!!」
マスクド・ジェラシー2号「その通りです、先輩!」
マスクド・ジェラシー1号「我ら、両者リングアウト推進委員会の名の下に…」
マスクド・ジェラシー2号「先輩!それは去年です!」
マスクド・ジェラシー1号「分かっておる!今のはほんのおちゃっぴぃだ!久々の登場で頭が混乱していたとも言う!」
 そこに団員の注進。
団員「総統!なにか大きな力がご神体より発せられております!」
マスクド・ジェラシー1号「そうか!でかした!」
 1号以下マスクド・ジェラシー達がご神体(Sittoの星に住むというSitto神の像)の前に整列する。
マスクド・ジェラシー1号「おお、この力は素晴らしい!」
 そのときご神体より重々しい声が響き渡る。
時空皇帝「朕の力を欲しているのは貴様か」
マスクド・ジェラシー1号「わははははは!その通りだ!」
 腕組みをして頷く1号。
時空皇帝「ふむ。よかろう、貴様の体を乗っ取り、封印を完全にはねのけてやるわ!力は与える、しかしその肉体を支配するのは朕なり!」
 そしてご神体から黒い光が1号に突き進む。
マスクド・ジェラシー1号「ふおおおおおおおっ!?」
マスクド・ジェラシーBLACK・RX「1号!?」
ジェラシーレディ「総統!」
 苦しみはじめる1号の様子に、うろたえるジェラシー達。
マスクド・ジェラシー1号「うおおおおおおお!」
 最後に一度大きく叫ぶと、1号は倒れてしまう。
マスクド・ジェラシー2号「まさか、先輩が乗っ取られるなんて…」
 呆然とする2号。そして1号はゆらり、と起きあがる。
マスクド・ジェラシー1号「わ〜っはっはっはっは!この私を乗っ取ろうなどと、100Sitto年早いわ!」
 そして大きく哄笑する。
時空皇帝「そ…ん…な…ば〜か〜な〜!」
 これが、時空皇帝アルベリッヒの最後であった。なんと、地球を救ったのはSitto団ということになってしまった。
マスクド・ジェラシー1号「ふふふ、この力は素晴らしい!Sittoの心は!」
団員「母心!」
マスクド・ジェラシー2号「押せば命の!!」
団員「泉湧く!」
マスクド・ジェラシー1号「見よ、嫉妬の炎は赤く燃えさかっておる!わ〜っはっはっは…」

 1号の哄笑と共にブラックアウトしていく画面。そしてなんとSitto団がリング上に姿を現す。
マスクド・ジェラシー1号「わ〜っはっはっは!時空Sitto団推参!まず手始めに会場にいるカップルを片っ端から別れさせるぞ!ゆけ、時空怪女スパイダ!」
 そして蜘蛛を模した怪人が姿を現すが、そこで会場が暗闇に包まれた。
 同時に映像が再び流れ出す。映し出されたのは、フレイヤに力を与えたノーザンライトの妖精。

ノーザンライトの妖精「大変なことになっちゃった!地球が、っていうか、カップルとアイドルレスラーが危ないわ!新たなフレイヤを見つけ出さないと!このWWPLに適任者がいればいいのだけど」
 画面に光があふれる。光の奔流が収まった後に映し出されたのは選手控え室。そこに妖精が舞い込んでくる。妖精はそこでその適任者を見つけた。
ノーザンライトの妖精「この子だわ!この子こそが二代目フレイヤにふさわしい!」
 妖精が目をつけたのは、カーシャ・イワノヴナであった。
カーシャ・イワノヴナ「わわっ!リングの妖精さんだ!」
ノーザンライトの妖精「へっ?」
カーシャ・イワノヴナ「いつか私の前にもリングの妖精さんが現れるって、NANAお姉さまが言ってたのは本当のことだったんですね」
ノーザンライトの妖精「(…だ、大丈夫かしら…でもこの娘しかいないし…)お願い!かくかくしかじかで、この世界が大変なの!フレイヤに変身して、奴らをやっつけて!」
カーシャ・イワノヴナ「…わかりました、全力で頑張ります!」
 微妙に勘違いをしていたカーシャだが、すぐに事情を飲み込んで頷く。
ノーザンライトの妖精「ありがとう!このブレスレットを着けて。さあ、変身よ!」
 ブレスレットを着けた左腕を掲げるカーシャ。光に包まれ体を時空スーツが覆う!ここに二代目時空女神フレイヤが姿を現したのだ!
カーシャ改めフレイヤ「この世界を守るため、時空女神フレイヤここに降臨!」
ノーザンライトの妖精「さあ、行きましょう!
フレイヤ「ええ!」

 会場に、先ほども流れた時空女神フレイヤのオープニングテーマが鳴り響く。
 そして花道にスポットライトが当たると、そこには先ほど変身完了したフレイヤ。
フレイヤ「私が来たからには好き勝手はさせません」
 言うが早いかリングに駆け上がるフレイヤ。
マスクド・ジェラシー1号「生意気な小娘め。貴様を倒してからゆっくりとカップル達の阿鼻叫喚地獄に変えてやるとしよう!」
スパイダ「1号様!ここはわたしにお任せを!」
マスクド・ジェラシー1号「よく言った!楽しみに待っておるぞ!では諸君、また会おう!ふはははははは!」
 1号以下ジェラシー軍団が立ち去り、リング上にはスパイダとフレイヤ。
スパイダ「私も改造前はレスラーだったのだ!決着はプロレスでつけるぞ!」
フレイヤ「望むところです!」
 そして、ゴングが鳴る!


第1試合時間無制限一本勝負時空女神フレイヤ第1話 「復活」
時空女神フレイヤ
(7分11秒、ノーザンライトプレス)
×時空怪女スパイダ

低い前傾姿勢でフレイヤの周りをぐるぐる回るスパイダ。低い姿勢からタックルに入ってフレイヤを転倒させると、マウントを取って首を絞める。フレイヤ、すぐにこれを切り返して背後に回り腕を取っていく。グラウンドではフレイヤの実力が上なのだが、それでもしつこくまとわりついていくスパイダ。そこでフレイヤは裏STF、「ブリーシンガメン」でスパイダの動きを止め、大の字にダウンしたところをノーザンライトプレスでトドメを刺した。
スパイダの敗北に姿を現した1号、「不甲斐ない!しかし次の怪女はこうはいかんぞ!」と言うとスパイダを担いで引き上げていった。フレイヤは「あの人達を倒すまで、私に安息はありません。フレイヤ、頑張ります!」と気合いを入れていた。
 怪人が去った後、スタッフから何やら紙切れを受け取ったフレイヤ。
フレイヤ「えっと、これを読めとのことですので、読みます。『次回予告。時空Sitto団が送り込む第二の刺客が襲い来る。果たしてフレイヤはこれを見事撃退することができるか。次回時空女神フレイヤ第2回、「おわりのはじまり?」。フレイヤは生き延びることができるか』。だそうです。次も他の敵と戦うようですので、見守ってください」


フレイヤ「と、いうことでノーザンライトの妖精の力によって時空女神 フレイアとしてsitto団と戦うことになりました。皆さん応援宜しくお願いしま す!  …ところで最初の敵がクモ男…もといクモ女なのは特撮モノのお約束なんでしょう か?」



第2試合30分一本勝負
坂倉宏子(KIZUNA)
(10分44秒、ドラゴンタイガー・スープレックス)
×MACHIKO

MACHIKOが目つぶしからダブルリスト・アームサルト、そしてSTファッションと繋げてギブアップを迫るが坂倉は耐えきってエスケープ。ジャーマンスープレックスからMACHIKOを捕まえたまま起きあがった坂倉、ホールドを変えてドラゴンタイガースープレックスで3カウント。

坂倉宏子 「まあ、手が合うタイプだからね。ドラゴンタイガーは復帰してから初の 試し切り。これから巻き返しますよ、すぐにね」

MACHIKO「むぐぐ、悔しいっ!あの首落としてやる!覚悟してなさいよ〜!」



第3試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
サイフィス真美【1勝1敗】
(12分49秒、片エビ固め:アカシックバスター)
×ブラック・ブリザード【2敗】

1敗同士での対決。真美、ブラックの打撃を身軽に回避してホイップ、キックを極めていく真美。嵩に懸かってストレッチを狙った真美だが、ここでブラックがグランドの上手さを見せつけて形勢逆転。真美の手足を極めて動きを奪っていく。真美が反撃のミドルキックを放つもスピードが無く、ブラックがキャッチ。ところが真美はそのまま白竜疾風脚で攻撃。倒れたブラックに真美のアカシックバスターが降り注ぎ、試合が決まった。

ブラック・ブリザード 「どうしても出たい人とそうでない者の差でしょうね、これ が」



第4試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
×渡辺智美【1敗】
(15分5秒、片エビ固め:エンジェルスタンプ)
セラフィム・レイ【2勝】

一興行遅れて渡辺がQOJ予選に登場。初戦を勝利したレイ、勢いに乗って迎え撃つ。ロープワークの攻防から、先手を取ってドロップキックを放とうとしたレイ。しかし渡辺はロープに腕を絡めてリバウンドを封じ、レイの一人受け身となってしまう。起きあがったレイにショルダーアタックを決め、ファーストアタックを取る渡辺。動きはレイが上回るが、要所で渡辺が目つぶしや場外エスケープなどで試合の流れをリセットする。消耗させられるレイだが、動きは止めない。これには渡辺も焦りの表情を見せる。組み合ったところからヘブンスマッシャーの体勢に入る渡辺、しかしレイがこれを切り返してダブルアームに渡辺を固めると、ロコモーション式にスープレックスを放っていく。そしてダウン状態の渡辺にエンジェルスタンプで降りかかり、完全な3カウントを奪ってみせた。
レイ、2勝目を上げて代表に大きく近づいた。

セラフィム・レイ「いやっほーい!ここで勝てたのはすっごい大きいよ。この夏のあたしはひと味違う!応援よろしくぅ!」



第5試合30分一本勝負
ソフィーヤ・パーリィ(EWA)&○ディアナ・アームストロングインフェルナルREIKO
(19分28秒、片エビ固め:テキサスドライバー)
神西志乃高岡ユーリ&×木佐深月(A☆F)

FWの傍若無人な攻撃に、とうとう神西の堪忍袋の緒が切れた。REIKOに強烈なアッパーカットを叩き込むと、髪をつかんで顔面に膝蹴りの嵐。慌ててガードが助けにはいるが、神西はこれをマウンテンストームで投げ飛ばしてリング下に蹴り落とす。パーリィが回転肘打ちで一旦はREIKOから引きはがされた神西だが、ハイキックでパーリィを退けてなおもREIKOを踏みつけていく。そこでパーリィ、噴射式の香水を神西の目に吹き付ける。さすがにこれはきいた神西、動きが止まる。これを見逃すFWではない。総掛かりで神西をいたぶろうとするところに高岡と木佐も入って乱戦状態。乱戦で強かったのは結局ファニーウイングスであった。4人目の戦力、ガードが警棒で木佐を背後から殴りつけ、ディアナがテキサスドライバーで木佐を沈めてしまった。
インフェルナルREIKO「こんの…っ。人をよくも散々蹴飛ばしてくれたわね!あたしの綺麗な顔が歪んだらどうしてくれるのよ!?クライシスの分際で生意気なのよ!」
神西志乃「歪んだか?…それでは、多少見られるようになったではないか。感謝して欲しいくらいだ」
インフェルナルREIKO「うわ、ムカつく!ちょっとあんた。暇なときに相手してあげるから、体空けときなさいよ!」

木佐深月「クライシスの分際? 違うわね、クライシスだからこそのこの試合よ。勝ち負けだけじゃわたしたちの価値は計れないってこと」

ソフィーヤ・パーリィ「なんだかなぁ。さすがに今日は脇役ね、これじゃ」



第6試合TTT1回戦第3試合60分一本勝負
水瀬沙夜&×荒谷久美(KIZUNA)
(20分10秒、足極め脇固め)【18】
川部雪江ラブリーベル

KIZUNA代表枠、WWPL無差別級タッグ王者の荒谷と水瀬のチームと、フリー予選枠出場のBコネチームが対戦。両チームともホームゲームという珍しい形となった。当然有利は無差別王者組だが、Bコネの二人にも予選を突破した勢いがある。
KGBの制服を模したようなコスチュームで登場のBコネ。川部はズボンだが、ベルはミニのスカートに網タイツという色っぽい姿で惜しみなく脚線美をアピールする。そしてその姿のまま試合に臨む。
腕の取り合いやグラウンドでのポジション争いなど静かな立ち上がり。グラウンドではBコネが優勢だが、スタンド状態でのヘッドロックやハンマースルーでタッグ王者組が押す。この組み合わせの中唯一のルチャ戦士であるベルが独特のリズムでかき回しはじめると、ペースはBコネへ。フライングニールキックで水瀬を場外に叩き落とし、プランチャ・スイシーダで降りかかる。これで大きなダメージを追った水瀬をかばって荒谷が奮闘。しかしベルのサポートの元で川部の腕殺しに合い、徐々に技を切り返されるシーンが目立ちはじめる荒谷。最後はベルがデスバレーボムでマットに叩き付けた荒谷を川部が脱出不能の足極め脇固めに捕らえる。ベルが水瀬をコーナーに押し込んでカットを防ぐ。荒谷、粘ったものの無念のギブアップ。
ラブリーベル「おーっほっほっほ!これがわたくしたちの実力ですわ!そう、今この勝利こそがビューティ・コネクションが世界に羽ばたく第一歩となるのです!美こそ正義!美こそ力!おーっほっほっほ!」

川部雪江「やって来たものが結果になった、それだけです。次は優勝候補筆頭のJBドールズですよね?」
ラブリーベル「そうですわね。さすがのわたくしも、あの方達は認めておりますわ。それでも、勝つのはわたくしたちビューティ・コネクションですわ!」

荒谷久美 「‥‥負けは負け。まあ、少しはマシになったんだろうからヘビーも面白 くなるでしょ。次は叩き潰してやるわ!!」



第7試合TTT1回戦第4試合60分一本勝負
コニー・ゲリファルテマルガリータ・ゲレーロ<TMLL>
(18分45秒、ファイヤーバードスプラッシュ)【15】
結城千種&×武藤めぐみ<めぐちぐ>

一回戦最後の試合は、TMLLの名タッグと往年の名タッグめぐちぐの戦い。両チームとも百戦錬磨だけ有り、完成度の高い時にはめまぐるしく時には緊張したにらみ合い等の好勝負を繰り広げていく。最後まで先の読めない五分の試合となったが、コニー・ゲリファルテのファイヤーバードスプラッシュが武藤を沈め、TMLLタッグがベスト8に駒を進めた。



第8試合3WAYタッグマッチ30分一本勝負
芹沢すずな松井香織
望月登子高村あかね(KIZUNA)
ファニー・ライトニング(SPWA)ロナ・ヴァン・ダム(SPWA)

松井香織(20分27秒、チキンウイングドラゴンスリーパー)高村あかね×

メインは3チーム入り乱れる3WAYタッグマッチ。このメンバーではダブルドラゴンも気合いが入ったか、序盤から積極的に試合を動かしていく。リング上だけでなく場外もフルに使ったどこを見ていいのか分からないくらいの大混戦。やはりというか、状況をよく見ていたのはダブルドラゴン。EEを場外に落として芹沢が混乱状態にした上で、松井が高村に毒霧から旋風脚、そしてとどめにチキンウイングアームロックで固めてギブアップを奪った。

松井香織「このメンツだと後先考えて試合してたら飲み込まれるからね、こっちもアクセル全開でやらせてもらったよ。まだこれだけ動けるってのが分かったから、TTTもいいところまで行けるかも知れないね」
芹沢すずな「ライトニングさんも、私に喧嘩を売ったところで仕方ないと思うんですけどね〜。さすがにちょっと目障りなので、望み通りシングル戦でお相手してあげようと思います」

高村あかね 「本家はどっかの誰かさんのよりも1000倍も痛いし効くね。ま、 TTTで巻き返すから。優勝はあかねたちだもんね!」
望月登子 「勝敗は兵家の常ってね。結果は負けでも、内容なら試合を引っ張ってたのはあたしたちだ。アピールの度合いでは勝ってるハズさ」

ロナ・ヴァン・ダム 「こういうスタイルはカナダに行く前にアメリカで散々やって きたから。ダブルドラゴン、ESと相手にとって不足なし。とことん楽しみましょ」
ファニー・ライトニング「いいかげんシングル組んだらどう? そろそろ楽しいこと しましょうよ」

8月14日 二軍自主興行 鳥取県白兎海岸特設会場
台風で延期になった二軍自主興行。無事に太陽の下開催することが出来た。泳ぐには少々遅い時期だが、久々の晴れ間とあってか延期された割にはまずまずの人出。見料は指定ではなく、見た人が満足度に応じて箱に入れていくシステムを取っている。

第1試合格闘技戦・スタンドマッチ3分5R
坂崎吹雪(BG)
(判定:坂崎2,引き分け1)
×シオン

 最初の試合は福岡のBattleGirlsより、WWPL南海道場出身の坂崎を迎えての格闘技戦。採点は同じくGB所属の三菱と日下(両者とも試合が数日前にあったために出場は無し)、そして見学に来ていた芹沢が担当。坂崎を迎え撃つのはテコンドー出身のシオン。空手ベースの坂崎だが、K−1に近いルールでの試合をこなしてきているためかキックボクシング風の構えを取る。シオンはテコンドー独特のリズムでステップを踏む。
 足のボクシングと称されるテコンドー。シオンがその評価に恥じない連続の足技で坂崎に蹴りを叩き込んでいく。坂崎は冷静にこれを躱し、捌いていくものの、手より重い足が次々と飛んでくるため支えきれず後退。1ラウンドはシオンのペースのまま試合が進むが、2ラウンドになると坂崎も動きに慣れたようで突きを中心とした接近戦で軽めだが回転の速い打撃を放つ。そしてシオンの後ろ蹴りを防いで出来た隙に、中段回し蹴りを放ってダウンを奪う。ダメージが響いたか、3ラウンド4ラウンドとシオンの動きが鈍く足を出すものの効果的ではない。
 しかし4ラウンドの終わりに踵落としを決めて坂崎をダウン寸前までふらつかせるなどの上手さも。5ラウンド、シオンの跳び後ろ回し蹴りと坂崎の胴回し蹴りが激突。不意打ちのタイミングではなったはずの大技が双方かち合い、互いに驚きと安堵が混ざった表情。
結局時間切れとなり、中盤のラウンドで優勢を維持した坂崎が判定で勝利。

坂崎吹雪 「テコンドーはうちの南条を相手にしていて多少は分かりますので。それにしても三菱さんはともかく日下さんが採点員って言うのは心配でしたわ。(心配してた通りこっちの勝ちにしなかったし。くそったれが)・・・え?何もいってませんよ?おほほ、では失礼〜」

シオン 「ルールが相手に有利だった以上、完敗でないことは健闘したと言えるのではないですか?」

第2試合30分一本勝負
清水楓&○スペル・メイガス<ZOOM>
(14分30秒、メイガススペシャル)
神龍静菜&×神龍晶菜<華☆劇>

 二軍で活躍するタッグZOOMと、南海道場出身の双子姉妹で現在は大分の団体に所属している神龍姉妹のタッグ対決。ルチャの早い動きで仕掛けるZOOMだが、妹の神龍晶菜が横殴りのエルボーで清水の動きを止めるとリフトアップから場外の砂の上に放り投げる。メイガスはパワーでも引けを取らず、晶菜と方からのぶつかり合いで五分。リング中央でにらみ合っている両者。そこに静菜のミサイルキックでメイガスが大きく飛ばされる。流れは神龍姉妹だが、ZOOMもメイガスのショルダースルーで飛び上がった清水がティヘラを決めるなど声援はむしろZOOM側。怒った晶菜がメイガスを場外に放り投げると、砂上パワーボムを仕掛けようとする。
 ところがここに誰かが連れてきていた犬が乱入。悲鳴を上げてメイガスを振りほどき慌ててリングに帰ろうとする晶菜。一方静菜は黄色い声を上げて犬に襲いかかる。これに驚いた犬が逃げ出すが、静菜はこれを追いかけていく。孤立してしまった上に犬におびえた様子の晶菜を清水のコンプリートショットからメイガスのメイガススペシャルと繋いでZOOMの勝利。
余談だがその犬は次の試合のために裏で控えていた長宗我部に無事保護された

スペル・メイガス「今日はとにかくお客さんの声援が嬉しかったですね。最後は犬までボク達を応援してくれたみたいで(笑)。ワンチャンスをものにした、ってとこですかねっ?」
清水楓 「あれぞ忍犬にふさわしい。出来れば拙者の配下にしたいところでござる」

第3試合30分一本勝負エニーウェアマッチ
MARINA
(10分18秒、ギブアップ)
×長宗我部美幸

 第3試合は「ハンマーヘッド」MARINAと、先日Bコネを脱退したばかりの長宗我部がシングル対決。どこで戦ってもいいというルールの中、まずはリング上で普通にロープワーク合戦を行う。MARINAがアームホイップで長宗我部を放り投げると長宗我部は転がってリングの外に出る。MARINA、トペ・スイシーダで頭から突進。ふらふらになった長宗我部、砂を撒いてMARINAの目つぶし。
 MARINAがなんとか目を開けるが長宗我部の姿がない。キョロキョロと辺りを見回すMARINA。すると売店横でかき氷を食べている長宗我部の姿が。気まずいにらみ合いの後、MARINAが長宗我部を追いかける。長宗我部はかき氷を食べながら海の方に向かって逃げ出す。もと陸上選手だけあって俊足を披露したMARINAが背後からヘッドアタックで長宗我部にぶつかり、波打ち際に転がり込む両者。そのまま海の中でもみ合いになり、長宗我部がMARINAの腕を背中合わせにホールドして逆さ押さえ込みでフォールを狙って腰まである海水をものともせず前に倒れ込む。ところが浮力が邪魔をしてうまくフォールをとれない。水を飲んだMARINAと長宗我部が咳き込みながら海から脱出。
 もみ合いながら試合が続く中、転倒した長宗我部に対してMARINAがビーチチェアを踏み台にしてダイビングヘッドバットを狙って舞い上がる。ところがMARINAの頭が突き刺さったのは長宗我部の隣に置いてあったスイカ。派手な音がして飛び散るスイカ。顔を上げたMARINAは真っ赤に染まって泣きそうな表情で長宗我部を見る。ところがこれを見た長宗我部、手を挙げてギブアップを宣言してしまった。マイクを取ると一言「すみません、怖いです」と言い残して引き上げた。

MARINA 「あうう、すいかとしおみずでべとべとのぐちゃぐちゃなのです。そのうえこわいなんていわれて、あうう、ぐすぐす」

第4試合30分一本勝負
×風祭元気<華☆劇>西園寺京
(15分17秒、無双乱舞)
須崎遥子&○青柳つかさ

 西園寺と共に姿を現したのは華☆劇の風祭。南海道場出身で、在席中は西園寺とタッグを組んだこともある選手だ。サーファー風のコスチューム、サーフボードを担いでの入場はまさに海にふさわしい姿。リングネームの通り元気もよくコーナーに上ってのアピールで会場を盛り上げる。そこに爆音を上げてやってくる750ccのバイク二つ。そこから降りてくる二人、須崎と青柳はなんと特攻服姿。確かに夏と言えば暴走族の季節でもある上に、須崎は実際にレディースを率いていたこともあるだけに様になっている。
 風祭の元気ファイトに西園寺のベーシックな腕殺しが加わって堅実な試合はこびをする赤コーナー。ところが須崎が西園寺の髪をつかんで動きを止めると頭突きを連打で叩き込む。青柳も手をポケットに突っ込んだまま蹴りを放ち西園寺を撃退、風祭と向かい合う。風祭が青柳をロープに振り、西園寺が下から足を引っ張って引きずり落とすと風祭の飛型が美しいトペ・コン・ヒーロ、その名もトペ・トビウオが放たれる。さらにサーフボードの上に西園寺のサイドバスターで青柳が叩き付けられる。
 続けてダブルブレンバスターを狙う西園寺と風祭だが、須崎が背後から二人の髪を掴んで制止。両者の顔面をぶつけ合いふらつく二人をリングに入れる須崎。さらに青柳がサーフボードをコーナーに立てかけ、須崎がパワーボムホイップで西園寺を叩き付ける。最後は風祭を青柳が無双乱舞で沈め、特攻服コンビが勝利した。

青柳つかさ「今日は、ちょっと遙ちゃんに合わせてね…。似合ってなかったでしょう…落ち着かないったらありゃしない」


 第4試合が終わってリング整備の休憩が取られる。すると水着姿の二人組がリングに上がってくる。それはなんとインフェルナルREIKOとディアナ・アームストロング。
インフェルナルREIKO 「はーい、海が似合う女、ファニーウイングスよ〜ん。今日たまたま遊びに来てたらなんかやってるんで、ちょっとからかいに来ちゃった」
ディアナ・アームストロング「嘘ばっかり。知ってたからワタシ達のアピールと、二軍の貧弱なお子様連中とは違うナイスバディを見せつけに行こうっていってたじゃない」
インフェルナルREIKO「やーん、ばらしちゃだめよ〜」
 というようなやりとりで突然ファニーウイングスのトークショーが始まってしまう。このハプニングに会場は大いに盛り上がる。10分ほどであったがREIKOの話術で空いた時間も退屈させない。最後に「来てるのを教えちゃった以上これじゃあのんびり焼いてられないし、あたしたちが注目集めすぎると試合が見てもらえないからこれで帰るわね。頑張りなさいな」と言い残して帰っていった。

第5試合30分一本勝負
香取梢&×鬼姫結梨花
(19分50秒、バーティカルエルボー)
キャノンボール焔マンティス笹倉<アンバランス>

 アンバランスと山陰式アンバランス、二軍の売り出しカードが休憩あけの一番。焔と香取の小柄対決で勢いで押す焔がまずは押すが、香取は冷静にホイップして鬼姫とチェンジ。焔も笹倉と代わり、今度は170オーバーの長身対決。腕を取りに行く笹倉だが、鬼姫は側転で体を入れ替えて柔道式裏投げ(見た目はバックドロップ)で笹倉を投げると袈裟固めに捕らえる。笹倉、完全に抑え込まれる前に腕を切り返して脇固めを狙う。鬼姫、前転してロープに逃げ早い動きのグラウンド戦をリセット。各選手が持ち味を発揮する展開となる。
 ところが、鬼姫が焔を捕らえ香取がそこにエルボーバットを当てようとしたところ焔が逃げてしまい誤爆となってしまう。鬼姫は香取に詰め寄るが、香取も「しっかり抑えないからだ」と反論。鬼姫は「チビはチビが抑える方がよかったんだよ!」と禁句を口にしてしまい香取激怒。アンバランスそっちのけでとっくみあいとなり、小魔神スイングを受けてしまう鬼姫。引きはがしたのは敵であるはずのアンバランス。笹倉が香取を抑え込む間に、焔がふらついている鬼姫の顎を打ち抜いて抑え込み、試合を制した。

キャノンボール焔「野外で楽しく試合ってのも良いですねぇっ! でもまさか仲間割れで勝負が決まるとは思いませんでしたけど。(笑)」
マンティス笹倉「ん〜っ。楽しゅう試合も出来たし、最後は意外な形で楽ぅさせて貰うたし。ほんに申し分無かですなぁ〜」
キャノンボール焔「それじゃ、後片付けを済ませたら泳ぐぞぉ〜っ!」
マンティス笹倉「(ぼそっと)お子さま体型、ねぇ。否定できへんなぁ〜」
キャノンボール焔「(小声)・・・それ、言わないで。(泣)」

香取梢「もうっ、結梨花ったら人のせいにばっかりして。やっと遊季のお守りから解放されたと思ってたのにこれじゃ中学の時と何も変わらないじゃない!!」

鬼姫結梨花「誤爆する梢が悪いんだよ!」

第6試合30分一本勝負
×華山麗子
(11分37秒、阪神タイガー・スープレックス)
オリビア

 「阪神はちょっと勢いが落ちとるけどなあ、うちのファイトで景気づけや!」と阪神タイガースの応援グッズに身を包んで登場のオリビア。確かに夏と言えば野球である。ところが華山も広島カープ応援グッズに身を包んで登場。そういえば華山は広島出身なのである。
 お互いの球団応援の意地をかけた試合はオリビアのパンチ、華山の噛みつきやひっかき攻撃などなりふり構わない展開。メガホンアタック、タオル絞殺、キーホルダーを握ってのパンチ、たまにバックドロップなどの大暴れ且つ高速で試合が流れる。結局最後はオリビアが阪神タイガー・スープレックスで順位通りの結果となった。

オリビア 「うっしゃあ!これで優勝はもろたで!この秋は勝利の美酒に酔いしれたるわ!これからがタイガースの黄金期!目指せV10!星野監督ばんざーいっ!」

第7試合30分一本勝負
高岡ユーリ
(片エビ固め:シュバイン)
×刹那

 メインに登場するのは一軍に出ている高岡ユーリと、ウェルター級チャンピオンの刹那。正面から組み合っての力比べ。重量で勝る刹那が押しはじめるが、高岡がフロントスープレックスで放り投げて上手さをみせる。そしてフロントフェイスロックに固めようとするが、これは刹那がロープに足を伸ばして回避。これまで出た二軍選手と比べると、やはり技の一つ一つが確実でダイナミックな高岡。刹那も王者の意地と高岡を上回るパワーでついていくが、要所でグラウンドに持ち込まれて攻めきることが出来ない。
 それでも垂直落下式DDTを決めてコーナーに上がる刹那。ダイビングギロチンドロップを敢行するが、高岡冷静にこれを転がって回避。腰をさする刹那に飛びついて担ぎ上げると、直下式水車落としとも言える強烈な技、シュバインを放って3カウント。一軍の壁を見せつけた。

高岡ユーリ「こういう舞台でもこっちはプライドかけてやってるからね。負けるつもりは全くなかったし、油断もしないさ。…だけどまあ、流石にベルト巻いてるだけのものはあったんじゃない?苦戦ではなかったけど、余裕ってほどでもなかったよ」

8月19日(火) 山口県海峡メッセ下関
 時空女神フレイヤの主題歌と共に、前回のダイジェストがナレーション付きで流される。
 そして映像が終わると姿を現す時空Sitto団。
1号「わーははははは!出てくるが良い2代目フレイヤ!今日の怪女はレスラーと蝙蝠の複合、時空怪女バットラだ!第2話で早くも決着とは申し訳ないが、嫉妬と時空皇帝の力は偉大なのだ!そう、この世界を我らSitto団が手に入れるため、聖戦の開始である!」
 1号の口上が終わると、再び流れ出す主題歌。そして花道には時空女神フレイヤ!
フレイヤ「ノーザンライトの導きにより、この世を乱すあなた方を退治して差し上げます!」
 フレイヤはポーズを決めると、バットラの待つリングに駆け上がった。

第1試合・新時空女神フレイヤ第2話、「おわりのはじまり?」
フレイヤ
(12分48秒、ブリーシンガメン)
×バットラ

フレイヤがコーナーにバットラをスルーするが、バットラコーナーに飛び乗り追撃に来ていたフレイヤにブーメランアタック。そしてフレイヤの腕を地道な関節技やストンピングで痛めつけていく。押されていたフレイヤ、ドロップキックやスイングDDTなどで反撃を行い徐々に優勢にすると、ブリーシンガメン(裏STF)でバットラを固めて失神させ、見事に時空Sitto団の野望をうち砕いた。

試合が終わると場内が暗転。スクリーンに映像が流れる。
「次回予告!
 時空Sitto団がとうとう一般市民に手を出し始めた!?
 大柄な怪女ベアーデが会場に来ていた一人の少女を襲い始める!
 しかし、その時フレイヤの制止の声が。
 時空女神フレイヤ第3話、「救出」。
 君は、ノーザンライトの涙を見る」

フレイヤ「このフレイヤの首飾り、ブリーシンガメンの力からはそう簡単には逃れられませんよ。時空Sitto団、覚悟しなさい!」

第2試合20分一本勝負
高岡ユーリ木佐深月(A☆F)
(13分34秒、片エビ固め:シュバイン)
ファニー・ライトニング(SPWA)&×水瀬沙夜

混成タッグのライトニング、水瀬組。さすがにタッグワークはクライシスに劣るため個人技での巻き返しを謀るしかない。それぞれの得意な動きを見せてその場面場面ではクライシスと五分以上の展開を行うが、結局タッチワークを突かれて水瀬が孤立、木佐のハイキックで朦朧とした水瀬を高岡がシュバインで沈めた。

高岡ユーリ「最近負けが込んでるから、これで混成タッグに負けたらしゃれにないもんな。気合入れ直すにはちょうどいい相手だったよ」
木佐深月「ほとんどユーリに科白を取られちゃったわね(苦笑)。ま、巻き返しはこれからってこと」

ファニー・ライトニング 「クライシスだかなんだかしらないけど、うっとおしい!!」
第3試合30分1本勝負
ソフィーヤ・パーリィ(EWA)
(21分56秒、ジャーマンスープレックス)
×神西志乃

意外にもグラウンドや組み合っての腕を取り合うなど静かな展開が長く続いた試合。パーリィが化粧品攻撃を仕掛けようとしたところで試合が動き始める。場外にも発展した乱闘の後リングに戻った両者。ナックルでパーリィにダメージを与えた神西がハイキックを狙う。パーリィはこれをガードすると回転の肘打ちで反撃すると、ふらつく神西の背後を取っての強烈なジャーマンスープレックスで勝負を決めた。

ソフィーヤ・パーリィ「ま、当然の結果ってやつよね。だから言ったでしょ、二度目はないって」
第4試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分1本勝負
×ブラック・ブリザード【3敗】
(14分39秒、ウルトラ・ウラカン・ラナ)
セラフィム・レイ【3勝】

連勝のレイと連敗のブラック。この勢いがはっきりと出てしまった試合。堅実に捕まえて関節技を仕掛けるブラックだが、レイの動きの良さに決まりが浅い、流れを寸断されるなどで攻めきれない。逆に首4の字固めで体力を奪われてしまうブラック。掌打に活路を見いだそうと連打していったブラックは、浴びせ蹴りでレイをはじき飛ばす。エプロンに退避したレイだが、ブラックがさらに追い打ちを狙ってくるところをスワンダイブで飛びつくウルトラ・ウラカン・ラナ。高速で丸め込むと3カウントを奪取。予選突破が見えてきた。

セラフィム・レイ「強敵のブラックさんだったけど、いまのあたしは止められないんだから。他の人の結果次第だけど、ほとんど予選突破は確実だよね」

ブラック・ブリザード 「ま、こんなもんでしょう。今年は縁がなかったということで」
第5試合30分1本勝負
ジャネット・ハーディ&×マルチナ・ハーディ<ハーディシスターズ(WWRP)>
(16分56秒、片エビ固め:ドラゴンタイガースープレックス)
坂倉宏子(KIZUNA)サイフィス真美

TTT初戦敗退のハーディシスターズに、坂倉と真美のタッグが挑む。組み付きたいハーディシスターズだが、坂倉も真美も蹴り、飛び膝などを多用して外から翻弄。試合スタイルの問題で真美とハーディシスターズがかみ合わないところを逆に利用してペースを握った坂倉がマルチナをドラゴンタイガーで沈めた。

坂倉宏子 「組まれるとやっかいだからね。いい形にはなったと思うけど。もう少し かみ合うようなレスリングすればよかったかな?」
第6試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分1本勝負
ロナ・ヴァン・ダム(SPWA)【2勝】
(10分45秒、タイガードライバー)
×渡辺智美【2敗】

絶好調のロナ・ヴァン・ダム。渡辺の細かな流れを断ち切ろうとする動きを完全に飲み込み、ヴァンドミネイターやカンフーキックで一気呵成に畳みかける。渡辺の反撃を封じてのタイガードライバーでヴァン・ダムが2連勝。渡辺は2敗目を喫して大きく後退。

ロナ・ヴァン・ダム 「負ける気がしないわね。あとは? ま、誰でもいいわ。この私の5星のスプラッシュで誰であろうと3カウントなんだから」

渡辺智美「あれはダメだわ。調子よすぎ。下手に無理したら壊されかねないし、まったく。どうしてくれようかしら」
第7試合30分1本勝負
望月登子高村あかね(KIZUNA)&○荒谷久美(KIZUNA)
(19分3秒、ムーンサルトプレス)
川部雪江MACHIKO&×ラブリーベル

TTTでの雪辱とばかりに川部、ベルに攻撃をかけていく荒谷。MACHIKOの椅子、川部の本(この日は史記)、ベルの鞭を駆使して反撃する。だが、Bコネがエクストリームストームの強烈な攻撃の前に徐々に押され始めると、荒谷がBコネに次々とラリアットを放ち最後はベルにとどめのムーンサルトプレス。勝負を決めた。

荒谷久美 「シングルならあいつらなんかめじゃないっての。個人じゃ相手になんてならないんだから、あいつらの実力じゃ。次は水瀬とのタッグで雪辱果たしてやるん だから!!」
高村あかね 「景気いいこと。この元気を控え室でも維持してくれたらいいのに、綾笹なみおちこんでたんだから‥‥(ここでスパーンと荒谷から突っ込みがはいる)。 あたた、ま、Bコネ相手に遊んでられないってとこだから。優勝はあかねたちなんだもん!!」

ラブリーベル「これで気が済んだからしらね?でもTTTのために力を取って置いただけですから、実力での負けではありませんわ」
第8試合TTT2回戦第1試合60分1本勝負
×ステファニー・ウィリアムスレミィ・ゴディ<パワーリーダーズ>
(片エビ固め:インフェルノスプラッシュ)【30】
ディアナ・アームストロング&○インフェルナルREIKO<ファニーウイングス>

タッグ戦では世界レベルの強豪、ゴディ&ウィリアムス。峠は越えたという前評判だが、アメフトの防具を身に纏って登場した二人の体の大きさは迫力充分。ファニーウイングスの二人も、さすがに慎重に構える。
PLのダブルショルダーアタックで強烈にマットに倒されるディアナ。ゴディはグラウンドも得意としており、ディアナをSTFで捕らえてギブアップを迫っていく。REIKOが机の破片でゴディを殴りつけてカットすると、合体パワーボムで追撃。コーナーに控えるウィリアムスをエルボーでリング下に落とすと、ファニーウイングス得意のダブルロメロスペシャル、トライアングル・ドリーマーでゴディを攻め立てる。カットしたウィリアムス、次々と殺人バックドロップを放ってFWの二人をダウン状態に。そしてREIKOに放たれるゴディ・ボム。完全に3カウントと思われた瞬間、ガードがレフリーの足を引っ張ってカウントを妨害。ゴディがレフリーに詰め寄って勝利をアピールするが、これは認められない。場内は大ブーイング。一方ウィリアムスは場外でガードにたいしてドクターボムを放って完全KO。再度FWにとどめを刺そうとするPLだが、ウィリアムスにディアナのエルボー・スイシーダ。さらにリング上ではガードの警棒を持ったREIKOがゴディを背後から殴りつけダウンさせる。ゴディとウィリアムスがチェンジしたところを見計らったREIKO、ディアナのショートレンジラリアットで倒されたウィリアムスにインフェルノスプラッシュを完璧に決めて3カウント。
インフェルナルREIKO「大会特別推薦とか言っても、たいしたこと無いわね!全員叩き潰して、このファニーウイングスが頂点に立つ日は近い!」
ダメージは大きいが、意気揚々とマイクアピールをするREIKO。場内からはブーイングと声援が共に聞こえる。
インフェルナルREIKO「力バカに、この悪くて綺麗な女、インフェルナルREIKOが倒せるとでも思ってたの?過去の強豪なんてのにやられるあたし達じゃないのよ!次はどっちが来ても、あたし達が勝つ!」
第9試合TTT2回戦第2試合60分1本勝負
芹沢すずな&○松井香織<ダブルドラゴン>
(22分23秒、膝十字)【24】
×星野真琴影山真琴<シャドウスターズ>

ヘビー級制覇をもくろむ悪のGM、DIAのSSが不敵な笑みを浮かべながらダブルドラゴンと対峙。リング中央で握手を求めるSS。この怪しい行動にためらい無く手を差し出すダブルドラゴンはSSが仕掛けようとするも視線でこれを封じ、両者コーナーに下がるまで動きを取らせない。
試合開始して少しの間はおとなしい展開だったが、すぐに4人が入り乱れリング内外を使った乱戦になる。星野のチェーンラリアートが芹沢をマットに突き刺し、影山に松井の掌底が場外で炸裂する。星野がパワーを存分に発揮して暴れる中、ダブドラは星野の膝に焦点を絞って攻撃。影山が松井に毒霧を仕掛けて星野を救出しようとするが、松井は水を噴射して毒霧を押し返し、なんと影山は自分の毒霧を自分で浴びてしまうことに。さらに芹沢のファイアブレスが影山を襲い、そのまま場外乱闘に持ち込む芹沢。影山も椅子やゴングを打つ木槌などを使って乱闘状態。リング上では膝を痛そうにしている星野を松井がブラックドラゴンドライバーの体勢に。これをふりほどいた星野、チェーンを投げつけて松井を止め、そこにジャンピングニー。倒れる松井だが、星野も膝を押さえてうずくまる。両者同時に立ち上がるが、先手を取ったのは松井。旋風脚でふらつく星野をコーナー最上段にすえ、雪崩式ドラゴンスクリューから膝十字のコンビネーション。場外では流血戦の末影山にドラゴンネイルを決めた芹沢がドラゴンスリーパーで影山を押さえ込んでおり、カットはできない状態。星野、悔しそうな表情を見せてタップアウト。

松井香織「こういう戦いの方が本領発揮できるんだよね。確かに肉体的には結構きついけど、充実した試合だったよ。リミッターを外してくれるああいう手合いは、精神的にやりやすかったかな」
芹沢すずな「最初の試合で負けてしまっては寂しいですものね〜。それにしても、こんなに血が流れたのは久しぶりじゃないかしら〜?ふふ、赤は私の色。とても楽しかったですよ〜」

膝をいためた星野を肩に担ぎながらコメントルームに来るチームSS。珍しく影山が口を開く。
影山「見事に分断されたな…。さすが老猾なダブルドラゴンと言ったところだな…クソ! まだまだ道のりは遠いってことか…」
星野真琴「あれが今の世界タッグ王者だろ。今日は確かに負けたがな、五分だろ、五分。シャドウ・スターズが、世界レベルのタッグであることには変わりないんだよ! 次にやる時はベルト戦にしてやる! その時はきっちり沈めて、ベルト奪ってやるからな! 見てろ!」

そう言ってコメントルームを去るチームSS。と、そこにインフェルナルREIKOとディアナ・アームストロングのファニーウイングスが腕組みをして立っていた。
REIKO「ふふん、無様ね。チームSS」
星野「な、なんだとぉ!」
REIKO「こんな興醒めはないわよ、まったく。次はあんた達とヒールの雌雄を決する試合だと思って楽しみにしてたのにダブルドラゴンなんかにあっさり負けちゃってさ。だ・か・ら・興醒めなのっていってるのよ!」
星野「黙って聞いていれば…」
影山「…そうだな。それについてはすまなかったな。REIKO。期待に応えられなくて」
星野「え? 影山さん?」
驚いた表情の星野。いや、REIKOも一瞬同じように驚いた表情を見せる。だが、すぐに平静を装う。
REIKO「へぇ、やけに素直じゃない? 影ちゃん…どういうつもり?」
影山「どういうつもりとは随分だな…」
そういうと、肩に担いでいた星野からすっと離れ、瞬時にREIKOの腕を取って壁際に押し込む。そしてぐっとREIKOに接近する影山。
影山「あたしは、あんたには素直なんだぜ? REIKO…」
まるで口説くような雰囲気でREIKOに囁く影山。星野は一瞬にして顔を赤らめてしまう。
星野「うわ…」
REIKO「ふぅん、それはそれは。天下のヒールクイーンの影山さんにそう言われるなんて光栄だわ…」
REIKOもその切返しはうまかった。なんだか妙な雰囲気の中で星野は顔を赤らめまくりである。
影山「ふふ…次は確かにあんた達ファニーウィングスとやりたかったよ。その期待に応えられなくて残念だからな。そう素直に言ってるまでだよ。素直だから…あんた達との…いや、レギオンからの同盟も継続しているつもりだからな」
REIKO「へえ?レギオンは解散したのに継続してるの?」
影山「それはこっちも同じだよ。そっちはいろいろ分かれてるが、一番しっくりくるのはファニーウィングスだと思ってるよ。だからあんた達の為に協力できるのなら喜んで協力させてもらうよ。…あの時と同じ…いや、あの時以上にな」
REIKO「ふぅ〜ん、それは随分嬉しいことね。その言葉信じていいのかしら?」
影山「ああ。こればかりは信じていいぜ? …あたしとREIKOの仲だからね」
REIKO「もう、誤解を招くことを言わないでくれる? でもまあ、いいわ。ファニーウィングスとしてもチームSSに協力できることがあれば協力するわよ。いいでしょ、ディアナ?」
ディアナ「もちろんよ。ギブアンドテイクが成り立つ間は…ね」
影山「それはありがたいね…。さて、あたし達は残念だがここでWWPL舞台を降りなくちゃならない。だが、これが最後じゃない。…またWWPLにやってくるさ。…ファニーウィングスの盟友として…」
REIKO「じゃ、その時まで楽しみに待ってるわ」
そういってチームSSとファニーウィングスの両者が笑顔で握手する。そして影山と星野はWWPLの会場から姿を消した。
この様子はプロレス雑誌に「8・19の密約」として大きく取り上げられたのは言うまでもない。

8月24日(日) 福岡県アクシオン福岡
 ここ福岡でも、試合開始の前に会場が暗転しスクリーンに映像が映し出される。
 これまでのあらすじをナレーションが語り、映し出されたのはSitto団のアジト。
マスクド・ジェラシー1号「二回。二回だ!連続で破れているのだぞ!こんなことではアイドルレスラーの抹殺、カップルの撲滅、マット界の制圧など夢のまた夢!」
マスクド・ジェラシー2号「負けには慣れてるはずじゃ…」
マスクド・ジェラシー1号「だまれ!(フライング嫉妬チョップ)」
マスクド・ジェラシー2号「ぐはっ!(ふっとぶ)」
ジェラシーレディ「ここは謀略を持って臨むのが一番かと」
マスクド・ジェラシー1号「そう!私もそれを考えていた!」
マスクド・ジェラシー2号「嘘ばっかり…」
マスクド・ジェラシー1号「ふん!(嫉妬ミサイルキック)」
マスクド・ジェラシー2号「ごべりばっ!(転がっていく)」
ジェラシーレディ「幸いにして、会場には人間がたくさんおります故」
マスクド・ジェラシー1号「ふむ、人質…か」
ジェラシーレディ「御意」

 そしてスクリーンも暗転していく。会場がほぼ真っ暗になったとき――
???「きゃーっ!」
 絹を裂くような悲鳴。照明がつくと、一人の女性を熊型の怪人が襲っていた!
マスクド・ジェラシー1号「そうだ!そのものを人質としてフレイヤに降伏を迫るのだ!」
フレイヤ「待ちなさい!罪のない一般人を人質にする等という悪行、許しません!」
 フレイヤが登場するとノリのよい観客達は拍手と歓声で迎える。
 熊の怪人、ベアーデは女性を後ろから羽交い締めにしたままリングに上がる。
マスクド・ジェラシー1号「フレイヤよ!このものの命が惜しければ降伏するがよい!」
???「キャーキャー♪」
 なにやら緊張感のない悲鳴を上げる女性。と。
 客席から「引っ込めオカマ野郎〜」「Sitto団ダマされるなー」と声が飛ぶ。
???「ちょっと待ちなさいよ!あたしはおかまじゃなくて女装が好きなだけって何度言ったら分かるの!?失礼しちゃうわね!」
 そう言いつつ女性はホールドを切るとアームホイップでベアーデを投げ飛ばし、フレイヤの側に逃げ出す。
 そう、この女性…いや、女装している男は、ここ福岡でマニア人気を持つローカルプロレス団体「ウエスタンプロレス」の所属レスラー牧村ゆきなだったのだ。
牧村ゆきな「まったく、せっかく可愛い変身ヒロインに助けて貰おうと思ったのに。情緒を理解しないお客さんねー。それより自己紹介!福岡の皆さんいつも応援してくれてありがとう〜。福岡のスーパーヒロイン、女の子を誰よりも愛する男の子、ゆきなちゃんデース。フレイヤちゃん、WWPLのみなさん、よろしくね〜」
 ひとしきり文句を言った後に自己紹介を終え、フレイヤに向き直って手を握る牧村。
牧村ゆきな「でもいいや。あたしはこうして無事なんだし、悪い怪人をやっつけちゃって!応援してるわフレイヤちゃん!」
 抱きつこうとする牧村を迷惑そうに腕で制止ながらも、フレイヤはベアーデに視線を向ける。
フレイヤ「悪事を見逃すわけにはいきません。ちょっとなんだか変な気分ではありますけど、おしおきです!」
 そして試合のゴングが鳴る。


第1試合新時空女神フレイヤ第3話「救出」
フレイヤ
(10分24秒、ノーザンライトプレス)
×ベアーデ

 正面からフレイヤに突進するベアーデ。さらにはじき飛ばされたフレイヤを引き起こして連続で逆水平チョップを叩き込み、再びフレイヤは倒れ伏す。そこにギロチンドロップを落として追撃するベアーデ。フレイヤ、今までになく苦戦。
 ところが、牧村が「フレイヤちゃんに何するのよ!」と言いながらベアーデを後ろから椅子で殴りつけるとスカート姿にもかかわらずミサイルキックまで放ち、フレイヤを救出。これで流れを失ったベアーデ。最後フレイヤはハイキックで倒れたベアーデをノーザンライトプレスで仕留めた。
 姿を現してベアーデを担ぎ上げるMJ1号。
マスクド・ジェラシー1号「ええい、人質の人選を誤ったか!同じ轍は二度とは踏まん、次は覚悟しておくがいいフレイヤよ!ではさらばだ!」
 去っていくMJ1号を見送ると、フレイヤは安心したように立ち去ろうとする。ところが牧村がフレイヤを呼び止める。
牧村ゆきな「フレイヤちゃんって強いのね〜。あたしファンになっちゃった。これからも応援して、横から手伝ってあげる!」
フレイヤ「…いえ、結構です」
牧村ゆきな「あら〜、控えめな女の子ってス・テ・キ。大丈夫、邪魔はしないから(^-^)b」
フレイヤ「お気持ちだけいただいておきます」
 関わり合いになりたくないと思ったか、いそいそと引き上げるフレイヤ。
牧村ゆきな「やーん、待って待って〜。気持ちだけと言わず体ごと受け取って〜」
 それを追いかけて行こうとする牧村だが、途中でスタッフに呼び止められ不満顔。ところが何かを渡されてささやかれると、頷いてリング上に戻る。
牧村ゆきな「初対面で慣れ慣れしくしすぎたからちょっと反省。それよりこれが重要みたいね。いくわよー。『次回予告。時空Sitto団の陰謀を次々とくじいていく我らが』…我らが、じゃなくてあたしの『フレイヤ。しかしやられたまま黙っているSitto団ではない!あの怪人が復讐を誓って立ち上がる。次回新時空女神フレイヤ第4話「復讐」。貴方の胸に直撃よ♪』これは見逃せないわね。あたしは絶対に超スペシャルリングサイドで見ちゃうんだから。さーて、フレイヤちゃんが変身を解除するシーンを見に行かなくちゃ!」

フレイヤ「…えっと…今回は…牧村さんが主役だったような気が…えっと、とりあえず…逃げます(汗)」


第2試合30分一本勝負
MACHIKO
(11分37秒、ブラッディ・ネット)
×ファニー・ライトニング(SPWA)

 「芹沢はあんたより二軍の方に興味があるみたいね。こっちに来ないで二軍興行に出てるわよ。注目度が二軍以下なんて、あんたも寂しい女ね」というMACHIKOの挑発。ライトニングは不機嫌顔だが、試合が始まるとその鬱憤を晴らすかのようなフライングニールキックや椅子を持ってのムーンサルトアタックなどのダイナミックな攻撃を見せていく。
 しかしロープに跳んだライトニングの足を場外からベルが引っ張って転倒させる。そしてMACHIKOがライトニングの体力を奪うようにスリーパーや連続ダブルリスト・アームサルトなどを放ち動きを止める。最後はブラッディ・ネットでライトニングからギブアップ勝利。


ファニー・ライトニング「やってくれるじゃない。血祭りにしてやる!!」


第3試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
×渡辺智美【3敗】
(3分25秒、反則)
ブラック・ブリザード【1勝3敗】

ブラックをフライングメイヤーで投げた渡辺は、ブラックマスクに手をかける。レフリーに反則を取られるのも構わずマスク剥ぎに固執する渡辺。ブラックの掌打が放たれ渡辺を押し込むも、カニばさみから更にマスクに手をかける渡辺に反則負けの裁定が下った。

渡辺智美 「ほら、なんか2敗したから無意味な戦いでしょ?だったらあの目障りなマスクを剥いで上げようと思った訳よ。私ってなんてファンサービスがいいのかしらね」

ブラック・ブリザード 「わたしの正体なんて誰でも知ってるんですから、無意味で
しょうに。まあ、どちらにしろ、マスクに手をかけた報いは受けてもらいますから」


第4試合30分一本勝負
水瀬沙夜荒谷久美(KIZUNA)
(タイガースープレックス)
セラフィム・レイ&×坂倉宏子(KIZUNA)

坂倉の激しい攻めに耐え、バックドロップで反撃する水瀬。さらに水瀬と坂倉はスープレックスを打ち合い、意地のぶつかり合い。それを制したのは水瀬。ロコモーション式のタイガースープレックスで坂倉を沈めた。

荒谷久美 「もう一度やり直すから。今日はその第一歩よ」

セラフィム・レイ 「さすがにタッグチャンピオンだよね。あたしの身軽をもっと武器にしないと、パワーの違いが大変だ〜」
坂倉宏子 「あなどったわけじゃないんだけどね。一発は重いから。あとはそれを効果的に使うレスリングだけだと思うけど。まあ、今日は私が悪い。ゴメンね、レイちゃん」


第5試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
ロナ・ヴァン・ダム(SPWA)【3勝】
(14分18秒、ファイブスター・フロッグスプラッシュ)
×サイフィス真美【1勝2敗】

 真美がこれに敗北すると、ロナとレイの代表選出を決定してしまう。踏みとどまらなければと気合いの入った表情でリングインする真美。入念にリング上で自分の体の調子をチェックしていく。
 開始から速度に任せたソバットやホイップ、レッグラリアットなどを放っていく真美。一気に試合を決めてしまおうという構えである。場外に落ちたロナにノータッチのトペ・コン・ヒーロを放ったところまでは完全に真美のペース。
 ところが、場外戦でこの流れがとぎれてしまう。ロナはパンチからソバット、椅子での殴打、コーナーへの打ち付け等の激しい攻撃で真美に襲いかかる。ヴァンドミネイターで完全に流れを引き寄せると、リングに戻っても勢いは止まらず。真美の速攻を激しさで飲み込んだロナが無差別王者らしい貫禄の勝利。

ロナ・ヴァン・ダム 「手応えのないこと。これがここのジュニアエースの一角なら、REIKOもたかが知れるわね。でも、これで正式に私にQOJのキップが手に入ったわけだから。でっかい花火打ち上げてやるわ」


第6試合30分一本勝負
ソフィーヤ・パーリィ(EWA)&○ディアナ・アームストロングインフェルナルREIKO
(15分00秒、片エビ固め:テキサスドライバー)
×高岡ユーリ神西志乃木佐深月(A☆F)

 入場以降にらみ合うREIKOと神西。REIKOの方が先発を買って出て挑発するが、神西は逆に木佐に任せて自分はリングサイドに降りて腕組みをしてしまう。これに腹を立てたか、REIKOは木佐を無視して神西に襲いかかろうとする。これは木佐が蹴りの寸止めで自分の方を向かせて試合開始。
 中盤以降REIKOが試合そっちのけで神西を場外に引きずり落とし、ガードと共にいたぶりはじめる。木佐がこれのカットにはいるが、ガードを蹴り倒したところでパーリィに背後からバックスピンエルボーを受けてしまう。
 木佐に撃退されたガードだが、場内でディアナと共に高岡に攻撃を加える。パーリィの香水噴射からディアナのテキサスドライバーが決まり、高岡が3カウントを取られた。
 REIKOは試合が終わってもなおも場外で神西を蹴り続けるが、神西も遠慮のないボディブローや場外での背負い投げなどで反撃。収拾がつかなくなったところを双方のチームメイトが引きはがしてなんとか収まった。

インフェルナルREIKO「まだまだ!あの目!口!体格!声!全部ムカつくのよ!イライラする!誰にケンカを売ったか教えて上げるわ!」
ディアナ・アームストロング「珍しいわね、レイコがこんなにエキサイトするなんて。ワタシにはそんなに気にする必要もないと思えるのに・・・」

ソフィーヤ・パーリィ「ミヅキ、あんたやっぱりリーダーの器じゃないわ」

木佐深月「ふざけてんじゃないわよ!! ああもうどいつもこいつも……」



第7試合TTT2回戦第4試合・NWWA&IWWF世界ジュニアヘビー級タッグダブルタイトルマッチ60分一本勝負
望月登子&×高村あかね(KIZUNA)
(片エビ固め:ダブルヘッドスネーク)【15】
コニー・ゲリファルテマルガリータ・ゲレーロ<TMLL>

 両チームともそれぞれが保持している世界ジュニアタッグのベルトを持って入場。高村の口より、この試合がダブルタイトルマッチでもあることが両チームの合意で決まったと発表された。初戦でめぐちぐを破ったTMLLコンビ。QOJで優勝し、先月も世界タッグを防衛したばかりのエクストリームストーム。好調両チームの激突である。
 望月をロープに振ったゲレーロ、リープフロッグから帰ってくる望月をアームホイップで投げ捨てると場外に転がり出た望月にラ・ケブラーダ。今度はゲレーロに高村のトペ・コン・ヒーロが放たれ、さらにその高村にゲリファルテのプランチャ・コン・ヒーロ。と、そこに復活していた望月のライダーキックが叩き込まれ、息もつかせぬ場外弾の連続に会場は大きく盛り上がる。
 両チームとも持ち味を発揮する中、ルチャの小気味良いタッチワークが徐々にエクストリームストームを分断しはじめる。望月が場外で鉄柱に打ち付けられてダウンする中、高村に二つのコーナーから同時に放たれるミサイルキック、ダブルヘッドスネークが決まる。ゲリファルテが抑え込み、ゲレーロがすかさず望月のカットを防ぎに走る。高村、自力で返すことが出来ず3カウントを聞いてしまった。
 この結果、TMLL組が準決勝進出、IWWF世界ジュニアヘビー級タッグ王座防衛、NWWA世界ジュニアヘビー級タッグ王座奪取を成し遂げることとなった。

望月登子 「くそっ!老獪な連中だったよ。私らが負けるなんてな…。だけどエクストリームストームはまだまだこれからだ!こんな事で落ち込んでられるかよ!見てろ!このマット界をエクストリームの嵐で覆い尽くしてやるからな!」

高村あかね 「第一コンテンダーはあかねたちでしょ! すぐに取り返すっての。1回2回の負けで下向いてられるかっての!! すぐに巻き返してやるから!!」


第8試合TTT2回戦第3試合60分一本勝負
飯塚リカ&×ジェニー野上<JBドールズ(A☆F)>
(32分53秒、地獄絞め)【10】
川部雪江ラブリーベル

 優勝候補最右翼、第2回JC優勝者にしてIWWF世界ヘビー級タッグチャンピオンのJBドールズが登場。Bコネの二人はチャイナドレスに扇子という出で立ちで入場してくる。オーバーコスチュームを取ると、チャイナ服をベースデザインにした動きやすそうなセパレートのコスチューム。リング中央で握手を求めるBコネ。ドールズは仕掛けられるものならやって見ろと言いたげに堂々と受けて立つ。Bコネ、ここは押されたか普通に握手を交わしてコーナーに下がる。
 飯塚と川部の先発で始まる。ドロップキックで先制するのは飯塚。積極的に動いて運動量で川部を圧倒する飯塚。川部は防戦一方。川部はロープリバウンドで勢いをつけて突っ込んでくる飯塚の顔面に横蹴りを放ってカウンターを仕掛けると、ようやく得意のグラウンドに持ち込む。上になって抑え込む動きを多用して飯塚のスタミナを奪う作戦の川部。しかし飯塚グラウンドは得意でないとはいえそこはトップレスラー、思惑通りにはさせず抜け出して野上と変わる。野上は組み合っての勝負を誘う動き。川部、それに乗るかに見せて諸手刈りを仕掛けるが、野上に止められて上から抱え込まれる。野上はその状態からブリッジを効かせて後方へ放り投げると、背後を取ってスリーパーホールド。からみついてくるような野上のレスリングに川部は反撃の隙をなかなか見いだせないものの、飲まれることなく落ち着いた対処を見せていく。
 ベルは果敢に突進。飯塚にショルダーアタックからメディオ・カングレホ(ルチャ式片逆エビ固め)で締め上げ、野上にはレッグラリアット、フランケンシュタイナーをヒットアンドアウェイで決めていく。それでも飯塚、野上を追い込むまでには到らず、飯塚のナパームショット(ローリングアックスボンバー)でマットに叩き付けられ危うくカウント3。これは川部がカットに入り事なきを得る。続けてタワーリングインフェルノ(雪崩式合体パワーボム)を狙ったドールズだが、ベルはこれをフランケンシュタイナーで切り返し飯塚を放り飛ばすと、野上にデスバレーボムからラブリーロック。これは決まったかと思われたが、飯塚は抑えに来た川部ごと倒れ込んでカット。
 ベルの攻めが終わると、川部がほとんど一方的に防戦に回る展開になる。川部もローキックや切り返しの関節技で急場を凌ぐ。ところが、表情を曇らせるのはJBドールズ。川部は野上のSTFをロープに逃げ切り、飯塚のスカイツイスターミサイルキックから抑え込まれてもロープに足を届かせ試合を決めさせない。だがダメージが小さいはずもない川部は、目の焦点が合ってない。
 ドールズはゼロ・キャノン(スカイツイスターミサイルキック式のダブルインパクト)で試合を決めようとする。しかしコーナーに上った飯塚を渡辺がブルーボックスで殴りつけて叩き落とし、MACHIKOと共に場外に引きずり落とす。川部、肩車された状態から野上の脳天に肘を落としてからその背後に着地。川部はすぐさま野上を片羽絞め捕らえると倒れ込みながら野上のフリーになっている腕を足で挟み込む。2001年11月に豊多摩を締め落とした、川部にとっての最終兵器と言える技、地獄絞め。完全に分断され、飯塚のカットが期待できないと悟った野上はロープエスケープを試みるも、上半身を完全に固められた状態で足のみを使ってのエスケープを川部は許さず。野上、まさかのギブアップ。
 多くの時間攻められ続けた川部は試合が終わっても立つことが出来ず、MACHIKOと渡辺に左右から支えられて立ち上がる。ベルも野上、飯塚以上のダメージを負っているため、立ち上がっても膝に手を着いて苦しそうな様子を見せる。そんな中で川部がマイクを要求。肩を借りた状態で喋りはじめる。
川部雪江「ビューティ・コネクションは、4人、いるんです。 それを、忘れたことが、あなた達の敗因、です。 美しさの、体現者として、勝利の女神は、私達と、共に…」
 そこまで言って川部は崩れ落ちかけ、慌ててMACHIKOに抱き留められる。転がるマイクを拾い上げたベル。
ラブリーベル 「さすがはわたくしも認めるJBドールズ。予想通り、いえ、予想以上でしたわ。それだけにこの勝利、重く受け止めます。わたくしたちビューティ・コネクションが、必ずや優勝して差し上げますわ!おーっほっほっほっほっほ!」
 ベルの高笑いと共に引き上げるビューティ・コネクション。川部は渡辺とMACHIKOが左右から肩を貸し、引きずるようにして連れ帰った。


8月28日(木) 兵庫県神戸ワールド記念ホール
 神戸ワールドでのビッグマッチでも、やはり流れ出す時空女神フレイヤのOP曲。当然開幕映像付きである。前回までの大ざっぱな説明映像の後に映し出されるのは毎度のSitto団秘密アジト。
マスクド・ジェラシー1号 「予想以上に目障りなのはあのフレイヤよ!次なる怪人を…」
??? 「お待ち下さい、1号様」
マスクド・ジェラシー1号 「む、お前は第1話であっさり敗北したスパイダではないか!」
スパイダ 「その言い方は悲しいものがありますが…それは置いておきまして、今回の指名は是非私に!そう、松坂大輔も言っております。負けた相手にはリベンジをと!」
マスクド・ジェラシー1号 「その意気やよし!行がよい、スパイダよ!」
スパイダ 「ははっ!」

新時空女神フレイヤ第4話「復讐」

 スパイダがリングに現れると、マイクでフレイヤを呼びつける。姿を現したフレイヤに指を突きつけたスパイダが啖呵を切った。
スパイダ「フレイヤよ!今日が貴様の最後だ!」
フレイヤ「私は悪い人に負けません!」
 低空のタックルからサブミッションを狙うスパイダ。第1話と同じパターンであるため、フレイヤは冷静に対処。するとスパイダは「やはり通じないか。では生まれ変わった私の力を見るがよい!」と言って今度はリングを縦横無尽に動き回ってスピード勝負に出る。フレイヤはこれに苦戦。スパイダージャーマンやタランチュラなどの技を受けてしまうフレイヤ。しかしちゃっかりついてきていた牧村が「蜘蛛怪人の弱点は火や熱よ!」と言い、自らスプレー缶とライターを使って火炎攻撃をスパイダに食らわせる(危険ですので真似をしないで下さい)。怯んだスパイダに、ミサイルキックからノーザンライトプレスと繋いだフレイヤが復讐に燃えるスパイダを撃退した。

フレイヤ
(11分38秒、ノーザンライトプレス)
×スパイダ

 敗北したスパイダを引きずっていく1号。しかし姿を消す前にマイクを握る。
マスクド・ジェラシー1号「ええい、忌々しいフレイヤめ!しかし、次はこうはいかんぞ!『次回予告! 4度の敗北に怒り心頭のSitto団総統。とうとう怪人だけではなくSitto団幹部の派遣を決意した!これが本当の時空Sitto団の実力か?次回新時空女神フレイヤ第5話、「動き出す嫉妬」。伊達に嫉妬はしておらぬ!』」


第2試合3WAYマッチ30分一本勝負
神西志乃vsソフィーヤ・パーリィ(EWA)vsMACHIKO

MACHIKO(9分43秒、スクールボーイ)神西志乃×

3選手が入り乱れる3WAYマッチ。最初は3名が組み合って押し合う。そこから神西が柔道の浮き車という技の応用で後方に倒れ込みながら二人を放り投げる。そこでパーリィとMACHIKO、まず神西の動きを止めようと手を組んで二人がかりでアームサルト。そして左右からダブル腕ひしぎを仕掛ける。完璧には極まりきってない状態で硬直する3名。神西、これをなんと腕力で振り切ってしまう。
 神西が攻められるシーンが目立つが、MACHIKOとパーリィも隙があればお互い丸め込んだりスープレックスホールドを仕掛けたりと油断のならない展開。神西がパーリィをハイキックで撃退したところ、MACHIKOがその瞬間にスクールボーイで丸め込んで3カウント奪取。
MACHIKO 「んふふ。隙だらけよ志乃ちゃん♪」
 そう一言挑発を残してMACHIKOが引き上げていった。パーリィも神西に「ハン、偉そうな事言ってた割にMACHIKOごときに名をなさしめるなんてね。ま、あんたがどうなろうとわたしの知ったことじゃないけど、そのせいでわたしの見せ場がなくなるのは迷惑極まりないのよ。この償いはいつかしてもらうからね」と追い打ち。神西は無言ではあったがその目は怒りに燃えていた。


第3試合30分一本勝負
MICO(DIA)&×一碧なつみ(REAL)ブラック・ブリザード(KIZUNA)
(18分31秒、リングアウト)
水瀬沙夜&○望月登子高村あかね(KIZUNA)

 エクストリーム・ストームが先にリングイン。すると、流れ出したのは『三匹が斬る!』メインテーマ。 着流し姿のブラック・ブリザード、巫女装束のMICO、そして猿回し姿の一碧なつみ!! 元ネタとはブラック以外の組み合わせがまったく違うながら、あまりのトリオの違和感のなさに爆笑と拍手が巻き起こる。
 高村と望月もその姿に思わず笑みをもらすが、水瀬のみは憮然とした表情。
 ぶらりと宿場町を訪れた、そんな風情の3人。リングの周囲を練り歩き、リングサイドの観客とハイタッチなどをおこない、ゆっくりとリングイン。
ブラック・ブリザード「本来の相手とは違うようですが‥‥。まあ、相手に取って不足なし。‥‥いざ、勝負!!」
 現在若手ジュニアの中で一気に頭角を現している一碧は知名度も上がっているようで、神戸のファンからも大きな声援が飛ぶ。エクストリームストーム相手に堅実な動きを基本に、MICOのアシストを受け、ブラックとの連携を上手くこなしていく。
 10分を過ぎてから1対1×3の状態に持ち込んだエクストリームストームが、破天荒なファイトを中心に試合のペースを握る。特にサブミッションを基本とする一碧は場外戦で疲労。一碧は高村の机上ファイヤーボンバーと望月の場外ライダーキックを受けて大ダメージを負い、カウント内にリングに戻れずカウントアウト敗北。

ブラック・ブリザード 「エクストリーム相手にこの試合内容なら初戦は上々でしょう」

第4試合TTT準決勝第1試合30分一本勝負
ディアナ・アームストロング&×インフェルナルREIKO<ファニーウイングス>
(13分9秒、ドラゴントルネード)【13】
芹沢すずな松井香織<ダブルドラゴン>

 昨年末より何度か激突したこの両チーム。結果はダブルドラゴンの全勝である。ファニーウイングスは今回こそこの壁を打ち破りたい。そろいのテンガロンハット、革のジャケット、くたびれたジーンズとカウガール衣装に身を包んで登場のファニーウイングス。ディアナも、コスチュームがヒールターン以降Tシャツと短パンやいわゆる水着系になることが多かったため、久々に身につけた衣装である。一方ダブルドラゴンはいつもと変わらず自然体。
 比較して受けに回ると弱い芹沢を狙うFW。ところが芹沢はこれを受ける前に叩きつぶすという、怖い芹沢の姿を見せて迎撃。飛び上がっての蹴りの連打、ロープワークからのアームホイップ等素晴らしい動きを見せる。
 だがFWも速攻をかける。早くもテキサスドライバーを芹沢に決めてフォールに行くが、これは松井がカット。松井もREIKOのエクスカリバーを回転エビ固めで切り返し、攻め返すFWに決めさせない。
 トーナメントであり、勝っても次があるのでダメージや疲労を抑えたいというジレンマがあるはずだが、両チームとも遠慮無く攻撃を仕掛け、受けていく。密度の濃い13分間。勝負を決めたのは松井のランニング掌底で吹き飛ばされたREIKOに降り注いだスワンダイブ式シューティングスタープレス、ドラゴントルネード。FW、ここでもダブルドラゴンに勝つことが出来ず。


第5試合TTT準決勝第2試合30分一本勝負
川部雪江&○ラブリーベル
(17分48秒、ラブリーロック)【14】
×コニー・ゲリファルテマルガリータ・ゲレーロ<TMLL>

 エクストリームストームを破り、世界ジュニアタッグの統一王者になったコニマリ。予選突破、ドールズ撃破と茨の道を突き進んでここまで来たBコネ。勢いのあるチーム同士の激突。Bコネは花魁風のガウンに身を包んで登場。派手な衣装でまず注目を集める。
 ルチャのベルではルチャのベテラン実力者TMLL組に勝てないと踏んだか、Bコネは川部を主戦に耐える試合に持ち込む。コニマリはお互い交互に入れ替わりダメージの分散を狙う。しかしこれが逆効果となってしまう。柔道、ヨーロッパレスリング仕込みのサブミッションを操る川部、ルチャの中でも特にジャベと呼ばれるグラウンドレスリングを得意とするベルの前に、二人とも疲労が蓄積されてしまうことになる。体重でもヘビー級のBコネ、特にベル相手に当たり負けが出始めるコニマリ。
 そしてダメージを防いでいたベルが一気にスパート。デスバレーボムからエンポリオ・アルマニッシュ、そしてフォールに行かずにすぐさまラブリーロックとゲリファルテを完全に捕まえる。川部がゲレーロのカットを防ぎ、ベルがこの芸術的ジャベで決勝戦の切符を勝ち取った。

ラブリーベル 「おーっほっほっほ!メキシコ最強タッグもたいしたことありませんわね!」

 この試合の後、ドールズは以下のコメントを残した。
飯塚リカ「おー、決勝に進んだか。えらいえらい」
ジェニー野上「んじゃま、気合入れなおしますかね」



第6試合30分一本勝負
坂倉宏子(KIZUNA)&×荒谷久美(KIZUNA)
(16分10秒、レッグロックアキレス腱固め)
高岡ユーリ木佐深月(A☆F)

 荒谷は水瀬とのタッグは組んでいるものの、特定のチームの所属ではない。この日はレイと真美が共にQOJ予選のためパートナー不在の坂倉と組んでクライシスと激突。
 試合巧者のKIZUNA組が終始流れをコントロールする。しかしクライシスも連携を駆使して果敢に攻めかかる。坂倉のジャーマンスープレックスをバク宙で切り返し着地した木佐、フルネルソンから持ち上げて叩き落とすフルネルソンバスターを決める。そして荒谷を躰道式のアクロバティックな蹴りで攪乱すると高岡とチェンジ。
 高岡低空のタックルで荒谷に組み付く。荒谷、シュバインを警戒して持ち上げられまいと体重を落としたところ、高岡は足をすくって荒谷を仰向けに転倒させる。そして素早くレッグロックアキレス腱固めに極めた。木佐は場外から回り、坂倉の足を引っ張ってカットを封じる。耐えていた荒谷だが、堪えきれずギブアップ。

高岡ユーリ「誰か忘れちゃいませんか、ってなもんさ。いくらなんでも油断しすぎだ。それでオレ達を倒そうなんて甘く見すぎだっての」
木佐深月「言ったでしょ。クライシスはこれからだって

荒谷久美 「くそっ! ゲンが悪い!! シングルで叩きのめしてやる!!」

坂倉宏子 「どうしよもないわ。重症だもの。強気なことは言ってるけど、肝心なところでチグハグだから。勝てる試合落としちゃったね」


第7試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
×サイフィス真美【1勝3敗】
(12分22秒、サキュバスドライバー)
渡辺智美【1勝3敗】

 かつてのタッグパートナーであるマミナベ同士の対決。ここまで3敗の渡辺、1勝2敗の真美。QOJ出場は既に代表者が決まっているがそのこととは別にお互いの意地が炸裂。スピードをいかしてリング上を縦横無尽に動き回る真美。渡辺はキックやホイップを受けながらも真美の動きを冷静に読み、ショートレンジのラリアットで反撃。
 早い展開の試合は、渡辺がヘブン・スマッシャーやキャノンボールバスターからサキュバスドライバーと、大技攻勢で真美を沈めて全敗を阻止。意地を見せる形となった。


第8試合QOJ2003WWPL枠選出戦30分一本勝負
ロナ・ヴァン・ダム(SPWA)【4勝】
(8分41秒、片エビ固め:ヴァンドミネイター)
×セラフィム・レイ【3勝1敗】

ロナ・ヴァン・ダム「まあ、面白いスタイルだけどね、技が軽いから。これで文句ないでしょ。予選でちゃんと話題振り撒いてあげたんだし。これで誰がトップなのか、ちゃんとわかったんじゃないの?」

セラフィム・レイ 「あはは、さすがにちょっときつかったなあ。うーん、まあ、負けてもQOJには出られるんだし、いっか。勝ちたかったけどね〜」


第9試合30分一本勝負
ステファニー・ウィリアムス&×レミィ・ゴディ<パワーリーダーズ>
(18分39秒、片エビ固め:ゼロ・キャノン)
飯塚リカジェニー野上<JBドールズ(A☆F)>

 第1回JC優勝チームと第2回JC優勝チーム。本来なら決勝でぶつかり合ってもおかしくない2チーム。特別にということで組まれた試合である。しかしPLは優勝当時と比べると峠を越した感があり、IWWF世界タッグの防衛を重ねて安定感抜群となったドールズに要所要所で流れを切られることになる。
 後半二人がかり中心の戦法に出たPLだが巻き返すには時既に遅く、最後は大会では不発に終わったドールズのゼロ・キャノンに沈んだ。

飯塚リカ「いい形で決勝戦にバトンを渡して、なおかつ勝たなきゃいけなかったからね。本戦よりきつかったかも(笑)」
ジェニー野上「わたしがサポートしてやってたンだから出来てとーぜんだろ。お前にゃ無理な高等技術だけどさ」
飯塚リカ「よくゆうよ……」


第10試合TTT3位決定戦45分一本勝負

ディアナ・アームストロング&○インフェルナルREIKO<ファニーウイングス>
(17分53秒、踏みつけフォールエクスカリバー)【24】
×コニー・ゲリファルテマルガリータ・ゲレーロ<TMLL>

 リングに上がったREIKOは「決勝じゃないからやる気なんて起きないわよ」と文句を言いつつも、ゴングが鳴るとTMLL組に負けぬ動きの良さを披露していく。さらにディアナのパワフルな攻撃に押されていくTMLL組。ディアナのダブルラリアットが決まると、飛ばされたゲレーロをディアナが場外に引きずり出す。そしてダウン状態のコニーをREIKOがエクスカリバーで沈めた。

ディアナ・アームストロング 「当然の結果ね。ダブルドラゴンとちょっと相性が悪いとはいえ、それ以外の相手に負けるワタシ達じゃないわ」
インフェルナルREIKO 「手抜きしてたけど勝てちゃったしね」


第11試合TTT決勝時間無制限一本勝負

芹沢すずな&○松井香織<ダブルドラゴン>
(19分58秒、片エビ固め:ブラックドラゴン・ドライバー)【16】
×川部雪江ラブリーベル

 誰がこの組み合わせの決勝戦を予想しただろうか。
 赤コーナーから入場のダブルドラゴンは、確かにJBドールズに次ぐ優勝候補。しかし青コーナー側のBコネチームは予選枠からの出場ということもあり、完全にノーマークであった。それがまさかの快進撃。一回戦ではWWPL無差別級タッグ王者チームを破り、二回戦では優勝候補筆頭、本命中の本命であるIWWF世界ヘビー級タッグ王者JBドールズを4人がかりとはいえまさかの撃破。さらに先ほどの準決勝ではNWWA&IWWF統一世界ジュニアヘビー級タッグ王者を破った。なんと対戦相手が全てタッグ王者であり、この決勝で対するのはNWWA世界ヘビー級タッグ王者であるダブルドラゴン。奇しくもBコネの二人、いや四人は4つの世界タッグベルトと対戦することになった。
 中国宮廷風の衣装を身にまとって入場してくる川部とベル。TTTでの全試合で入場コスチュームを変えてきたBコネ。それはつまり事前に決勝まで行くと信じていたからこそ用意することが可能だったことを意味している。
 一方のダブルドラゴンは普段通りの入場。いつもと違うことをする必要はない、常に全力真剣勝負。それがダブルドラゴンのモットーなのである。

 先発の松井と川部がお互い片手を伸ばしていく。牽制しあう状態から川部が低空で松井の懐に潜り込むと諸手刈りで足を刈る。すかさず袈裟固めに入る川部だが、松井は川部の頭を足で挟み込んで引きはがしヘッドシザースで固めていくというベーシックなグラウンドの展開。
 川部はベルと交代。松井と組み合ったベルはヘッドロックを仕掛けた松井をロープにぶつけて振りほどき、ロープリバウンドで戻ってくる松井を一度リープフロッグで飛び越え再びロープの反動で戻ってきた松井へフライングニールキック。ベルはすぐに松井をキャメルクラッチに捕らえると、川部が正面から松井の顔面に低空のドロップキックを叩き込む。小気味良い連携を見せるBコネ。
 芹沢が蹴りでベルを押し込むが、川部が芹沢を背後から「封神演義」と書かれたハードカバー本で殴りつけてベルを救出。Bコネは二人がかりのバックドロップで芹沢を後方に投げ捨てる。ところが芹沢は空中で反転して着地、ベルと川部に次々と旋風脚を放つ。
 要所でMACHIKOや渡辺の手助けが入ることもあって、ダブルドラゴンに五分の展開で渡り合うBコネ。ここまでの実績が自信と実力に直結となった様子。たとえ乱入がなかったとしても、おそらく先月までの力関係とは違った好試合になるだろうという雰囲気である。

 芹沢がブルーボックス攻撃で場外に落とされ、川部の雪崩式一本背負いが松井に決まってダウン状態。ダブルドラゴン最大のピンチが訪れる。ここで川部は極めに入らず、松井を引き起こしてロープに振る。そして戻ってくるところにカウンターでの一撃を狙うが、これを松井はランニング掌底で反撃。さらにベルに旋風脚を決めて場外に落とすと、場外で芹沢がベルを捕まえてドラゴンスープレックス。
 ピンチから一気に流れを引き寄せたダブルドラゴン。松井は川部を起こすと、クロスアーム式の直下式ブレンバスター、ブラックドラゴン・ドライバーを決めてフォール。強烈な一撃に3カウントが入った。

 トップ・オブ・ツインスタートーナメントの優勝チームはダブルドラゴンに決定。波乱含みの夏のタッグ大会の終了である。リング上でインタビューが行われる。
―――優勝、おめでとうございました
松井香織 「ありがとう」
芹沢すずな「ありがとうございました〜」
―――まずは今のお気持ちをお聞かせ下さい
松井香織 「これだけのメンバーが集まる大会を制したっていうのは悪くないね」
芹沢すずな「一発勝負のトーナメントだけに緊張してましたので〜、やっと終わったということでほっとしてますね〜」
―――NWWAの世界タッグ王者として負けられないという気持ちがあったと思いますが
芹沢すずな「いえ〜、私達は常に挑戦者ですから〜」
松井香織 「そうだね。特にここでドールズに挑んでやるっていう考えの方が強かったかな。戦えなくて残念だよ」
―――そのドールズを破ったBコネの二人なのですが、対戦してみてどうでした?
松井香織 「大きな勝利は人を変えるって言うけど、それを実感したよ。このメンバーの中で決勝に出てきただけのことはあったかな」
芹沢すずな「私は消化不良でしたけどね〜。もっと4人がかりでどんどん来てくれてもよかったんですけど〜、正々堂々やりたいと思いすぎたのではないですか〜?どっちにしても、私達の勝ちだったのですから〜」
―――なるほど、まだダブルドラゴンの牙城を崩すというところまでは来てないようですね。そういえばこの大会での優勝チームを世界タッグの挑戦者にという話も聞いておりましたけど、ご自分達が優勝してしまいましたが
松井香織 「もともとそのつもりだったからね。優勝した以上これをアピールするしかないでしょ。JBドールズ!優勝者の権利として挑戦者に指名…じゃなくて!優勝者の権利として、挑戦者に立候補だ!お前達の持ってるIWWF世界ヘビー級タッグ王座、このダブルドラゴンがもらい受ける!ご希望とあれば統一戦にしてもいい。返事はすぐにとは言わないけどね、考えときな!」
―――大会では実現しなかったドールズ体ダブドラの試合が、統一戦で実現すれば見逃せない試合になりますね。では、最後に一言お願いします
芹沢すずな「ちょっと衰えを感じてきていまして〜、引退も考えていたのですけど〜、これではまだまだ辞められませんね〜。もう少し頑張ってみますね〜」
松井香織 「記憶にも記録にも残る伝説のタッグになってみせる。NWWAの世界タッグが第一歩とすれば、今日のこの優勝が第二歩だ。次はドールズがその礎になる。覚悟してろ!」

川部雪江 「詰めが甘かったです、すみません」
ラブリーベル「かまいませんわよ。仮にも世界王者をあそこまで追いつめただけでアピールとしては十分ですわ。勝つに越したことはないとしても、試合での負けがすなわちBコネの敗北ではありませんから」