12月31日(土) 兵庫県神戸ワールド記念ホール
第1試合
長宗我部美幸
沢田ちひろ
vs 華山麗子
コットン環×
12分00秒、逆エビ固め
 無表情の愉快犯長宗我部と、表情を変化させない狂乱ヒール華山がリング上でにらみ合う。突然「あっちむいてほい」を仕掛ける長宗我部だが、華山は方向を指示する指を握るとそのままマットに引きずり倒し、髪をつかんで頭をマットに叩きつける。この反則にレフリーがあわてて引きはがすが、長宗我部は構わないというジェスチャー。代わりに沢田が怒りの表情で手を伸ばし、自分がやってやるとアピール。
 しかし沢田が出てくると、華山は環と交代してしまう。怒りのやり場が無くなった沢田はぎくしゃくした様子で環と向かい合うが、体がうまく動かないのかグラウンドで押さえ込まれてしまう。さらに片逆エビ固めを受けるなど、攻められる。
 長宗我部は沢田を救出すると、今度はのらりくらりと環を翻弄。まともな技はアームホイップ以外まったく繰り出さないが、環はそれでもスタミナを消耗する。試合の流れを長宗我部と華山がコントロールし、その元で沢田と環が動かされるという展開の試合は、キャリアの差を何とか発揮した沢田が股を裂くような逆エビ固めで環を絞り上げ、ギブアップを奪った。

コメント:
第2試合タッグマッチ30分一本勝負
×MARINA
カエデ
vs エル・アルコン
リンドラ○
<T4D>
7分14秒、エビ固め
 ダンスと共に入場してきたエル・アルコンとリンドラのコンビは、リングに上がるとマイクアピールを開始する。
アルコン&リンドラ 「WWPLのファンの皆さん、コンバンワ〜〜!!」
アルコン 「ボク達は”四次元殺法コンビ”T4D!D・I・Aから来た、タッグチームだよーーっ!!」
リンドラ 「日本の大晦日は格闘技の祭典・・・でも、来年はどうか?と思うので、慌てて参加しに来たですよ?」
アルコン 「白き翼に!」
リンドラ 「猩々緋(しょうじょうひ*黄みがかった紅色)!」
アルコン&リンドラ 「四次元殺法コンビ”・”紅白バージョン”で只今登場!!」
アルコン 「ボクが、T4D!エル・アルコンだよーーっ!!」
リンドラ 「私が、T4D・リンドラ!以後、お見知りおきを!!」

 先発はカエデとアルコン。まずは軽快なロープワークから、カエデがリープフロッグでアルコンを飛び越える。そしてカエデが開脚後方回転すると、アルコンはそれを前方飛び込み受け身で飛び越していく。この基本的なルチャのムーブをこなしたアルコンに、カエデは少々見下すような仕草で拍手を送る。これにムッとしたアルコンは、今度はお前がやって見ろとロープを指さす。カエデがロープリバウンドで帰ったところをアルコンが同じようにリープフロッグから開脚後方回転を見せる。カエデはこれを飛び越すときに体をひねり、着地した直後に無防備となっていたアルコンの顔面へドロップキックを見舞い、どうだと言わんばかりに観客へアピール。まず最初の流れはカエデが握る。
 MARINAに対してアルコンは前後から素早いドロップキックを連発し、さらにリンドラがカニバサミでMARINAを倒したところですかさずアルコンがその顔面へドロップキックを放つなどの連携を見せる。MARINAの頭突きを受けて一度場外に逃げたリンドラ。すかさずアルコンがスワンダイブミサイルキックでMARINAに襲いかかり、追撃させない。カエデのカットをうまく封じたT4D、最後はMARINAとの丸め込み合戦をリンドラが制して、WWPL初見参試合を勝利で飾った。


コメント:
アルコン&リンドラ 「YAーー!HAーー!!」(ハイタッチ)
リンドラ 「押さば引き、引かば押す・・・波に影失する(かげうする)、海燕のごとく・・・これぞ”影縛り・無影の術”ですよ?」(ポージング)
アルコン 「ボク達はメキシコでルチャを学ぶと同時に、アメリカからの刺客でもあるんだよーーっ!?スワンダイブ(式ミサイルキック)はアメリカでフィズさんに指導を受けた技さーー!!」
リンドラ 「自由なる戦い(ルチャリブレ)の技を・・・」
アルコン 「自由の国(アメリカ)の風に乗せて!」
アルコン&リンドラ 「DIAのプロレスをここに!YAーー!HAーー!!」(二人揃ってポージング)


MARINA 「どうも、何回も切り替えされていると混乱してしまって、だめなのです」
カエデ 「拙者の見せ場は序盤だけでござった。集中攻撃は常套手段とは言え、この大舞台でこれは残念でござる」
 
第3試合WWPLウェルター級シングル防衛戦
王者
×坂本ジュリア
vs 挑戦者
滝川ナツキ<DIA>○
15分59秒、体固め:デリンジャー・ショット
※坂本ジュリアが3度目の防衛に失敗。滝川ナツキが第16代王者に
 WWPLウェルター級シングルのベルトを狙い、DIAからの刺客、滝川ナツキが送り込まれた。正面からガンガン押す滝川のスタイルに、これまで先輩達を退けてきた坂本は対応出来るか注目される。まず仕掛けていったのは坂本。とにかく基本からとドロップキックの連発を見せる。滝川は起きあがりざまのエルボーで坂本の動きを止めてボディスラムでマットに叩きつけていく、若手らしい攻防。お互い手の内が分からないため、ヘッドロックやグラウンドの攻防、ドロップキックやボディスラムと大技を繰り出すチャンスを狙うためにまずはじっくりと基本技。滝川はサイドスープレックスを決めたところで好機と見たか攻め込んでいく。
 フェイスロックでスタミナを奪い、カウンターキックで坂本の顔面を蹴り上げる滝川。そしてコーナーへ坂本を叩きつけ、対角線ラリアット。しかしこれは坂本うまくかわすと素早くコーナーへ登り、ふらつく滝川へアストロシザースを仕掛ける。そしてブレンバスターを狙うが、滝川が逆に切り返す。そして坂本を引きずり起こした滝川はショートレンジのラリアットを放つ。ところが坂本はこれをバク転で回避し、滝川の髪をつかんでの連続ホイップで反撃していく。しかしこの後が続かない坂本。滝川の背後を取った坂本だが、滝川はエルボーでこれを振りほどくと、得意のデリンジャー・ショット(ノーザンライトボム)で強引に坂本の脳天をマットに突き刺し、フォール。ぴくりと動いた坂本だが、肩を上げることは出来ず3カウント。滝川ナツキが、第16代ウェルター級王者としてベルトを巻いた。

コメント:
滝川ナツキ 「試合中は無我夢中で戦っていただけで、まさか勝てるとは思っていませんでした。恥ずかしい話ですけど、これまで団体外のリングで勝てたこともありませんでしたし。それがこのタイトルの懸かった試合で初勝利を飾れるなんて、本当に夢みたいです。色々あった2005年でしたけど、最後に来て大きな成果を出せたと思います。来年はDIAのレスラーとしても、WWPLのタイトルホルダーとしても、両団体の名を汚さないように頑張っていきたいと思います」

坂本ジュリア 「がっでむ! ベルトを流出させてしまった責任は、自分で取ります。必ず、取り返して見せます!」
 
第4試合スペシャルルチャ・リブレマッチ60分3本勝負
<テクニカ軍>
セラフィム・レイ
イハ・デ・マスカラ・シスネ(TMLL)
リリィ・リベラ(MWA)
vs <ルーダ軍>
レイナ・アスーレス(TMLL)
殺(MWA)
一本目:テクニカ
イハ・デ・マスカラ・シスネ(8分30秒、スープレックス・アレマン・コン・プエンテ)レイナ・アスーレス×

二本目:ルーダ
レイナ・アスーレス(11分44秒、ムーンサルトプレス)リリィ・リベラ×

三本目:テクニカ
セラフィム・レイ(18分21秒、ウルトラ・ウラカン・ラナ)×

2-1でテクニカ軍の勝利
 WWPL、メキシコのTMLL、同じくメキシコのMWAと3団体からそれぞれテクニカ、ルーダを出し合っての6人タッグマッチが、ルチャ式の3本勝負、レフリー2人体勢で行われた。テクニカ軍はWWPLからセラフィム・レイ、TMLL代表は白鳥仮面二世で総合格闘技の分野でも活動しているイハ・デ・マスカラ・シスネ、MWAからはルチャ・リブレ・クラシカのエリートであるリリィ・リベラが派遣された。一方のルーダ軍、まずはWWPLからブラッディ・ジェネレーションの雅、そしてMWAでその雅と同じチームで闘っていた、WWPLに在籍経験もある殺が登場。そして05年の前半にTMLLで暴れていたルーダ、レイナ・アスーレス。中身は日本人との噂もあるが、果たして。
 ゴングと同時にルーダ軍が仕掛ける。それぞれをドロップキックで場外に放り出し、レイナ・アスーレスがトペ・スイシーダ、殺がトペ・コン・ヒーロ、雅がスワンダイブ錐揉みミサイルキックと空中弾の共演を行い、さらには鉄柱や椅子を使ってテクニカ軍を攻め立てる。しかし身長180センチを越える大型ルチャドーラのシスネが雅をリフトアップからリングに投げ入れ、レイにストンピングを放っていたレイナ・アスーレスを客席に向かってハンマースルー。このマスカラ・シスネとレイナ・アスーレスはTMLLでTMLLヘビーのベルトを巡って争ったことがあり、闘争心をむき出しにしていく。リング上ではリリィ・リベラと雅。雅の手刀をガードしたリリィは雅の足首を掴んで転がるようにグラウンドへ引きずり込み固めていく。雅はなんとか脱出すると、手刀から闇燕でリリィを放り投げ、殺と交代。殺はリリィへ向かってドロップキックを放つが、リリィもこれをドロップキックでやり返し、相打ち。受け身を取った両者は同時にヘッドスプリングで跳ね起きると、互いに向かって構えを取りにらみ合う。この動きに、会場から拍手が起こる。
 テクニカ軍がルーダ軍を分断し、レイナ・アスーレスへ集中攻撃。リリィが足を固めたところにレイのフットスタンプ、そしてマスカラ・シスネのボディプレスが決まる。ふらつくレイナ・アスーレスを、シスネがリフトアップからのジャーマンスープレックスで3カウント。まずはテクニカ軍が1ポイント獲得する。
 二本目開始早々にルーダ軍はリリィを捕まえ、レイとシスネを場外へ放り出す。雅と殺がまずレイを場外で合体フェイスバスターでダウンさせ、シスネのマスクを引き裂いて行動不能へ陥らせる。リリィはレイナ・アスーレスの裏投げや腕ひしぎに耐え、ラ・トモエナーゲで反撃開始。しかしジャベに入ったところで殺のカットに合い、コーナーでラリアットやニールキックなどの串刺し攻撃を受けグロッキー。そしてアスーレスのムーンサルトプレスでルーダ軍が取り返す。
 お互い後のない3本目。テクニカ軍はまず合体ストレッチ、エストレージャでルーダ軍の股を裂いていく。さらに3コーナーで同時の雪崩式部連覇スターを狙うが、レイがアスーレスに振りほどかれ、逆にミサイルキックを受けてしまう。アスーレスはさらにストンピングでレイに追い打ちを仕掛けていくが、ここはシスネがカット。雅が錐揉みドロップキックをシスネに放つが、シスネはこれを胸で受け止めて跳ね返す。さらに殺をショルダースルーで放り投げ、高いところから落としていくシスネ。しかしアスーレスが飛びつき腕十字を仕掛け、シスネギブアップ寸前に。ここはリリィがカットしてアスーレスを場外に連れ出す。そこで殺がシスネに追撃をしようと近づくが、エプロンにいたレイがスワンダイブで飛びついてのウルトラ・ウラカン・ラナ。さらにシスネが雅をエビ固めで丸め込みダブルフォール。見事に3カウントが入って、テクニカ軍が勝利を収めた。
 テクニカ軍は互いに抱き合って勝利を喜ぶ。そして手を繋いで高々と上げ、勝利のアピール。会場は大いに盛り上がっていた。


コメント:
セラフィム・レイ 「あたしはそんなにルチャってほどルチャ出来てなかったと思うけど、楽しかった〜」
リリィ・リベラ 「せっかく日本に来たんだから、カエデとやりたかったわね。こっちでのカエデはテクニカだから、仕方ないのかもしれないけど。それにしても日本人の試合はスピードが速くて、大変だったわ」

殺 「花を持たせてやっただけだ。所詮はお祭り」
雅 「拗ねない拗ねない。ま、アタシは取られてないから気楽なもんだけどね」

 無言で引き上げてきたレイナ。
レイナ・アスーレス 「……」
記者 「ひさびさ&突然の登場となったレイナ選手。なにかひとこと…」
レイナ・アスーレス (小声で)「えっ!? だ、だって、ボクの正体はヒミツってことで…」
記者 「いや、TMLL中継を見ていたコアなファンなら、みんなバレバレだと思うんですけど…飛びつき腕十字まで出してましたし…」
レイナ・アスーレス 「…う…。そ、それじゃひとことだけ」
記者 「はい」
レイナ・アスーレス 「TMLLに続き、ここでもあのシスネに負けるとはな! 今度メキシコに行くときこそ、このボクが負かしてやるぜ!」
記者 「一人称は変わらないんですね…」
レイナ・アスーレス 「あ、しまった! ひさしぶりだからつ、つい…そこは「ワタシ」にしてください…」

 
第5試合6人タッグマッチ30分一本勝負
×高村あかね
望月登子

青柳つかさ
vs 久保渚
オリビア
デビル・メイガス
17分38秒、リングアウト
 開始直後からリング内外で激しいぶつかり合いが繰り広げられる。久保は高村を客席まで引きずり出し、腕力にものを言わせてリフトアップスラム。青柳とオリビアはリング上で殴り合い、望月がデビルを鉄柱とのサンドイッチにするキック連打を放っているという、まさに混沌とした試合展開。前の試合が明るい雰囲気だっただけに、ギャップによる殺伐さは普段以上。
 オリビアが持ち出したレッドボックスごと青柳が蹴り飛ばすが、直後に背後から久保が体当たりで青柳をコーナーに叩きつける。そしてスイングスリーパーで青柳のスタミナを奪っていく久保。さらにブラジェネが青柳を集中攻撃しようとしたところ、望月のライダーキックがオリビアに、高村のジャンピングハイキックがデビルに決まって形勢逆転。机の上へ設置したオリビアへ高村のジェットスクランダーというハードコアな技で勝負をかけるが、これはレフリーがカウント中にレッドボックスをぶつけられて妨害されてしまう。
 地力の差でESが優位に立っていくが、ブラジェネは再び場外乱闘へ持ち込む。そしてギリギリまで場外で粘ったブラジェネは、息を合わせてそれぞれが場外での大技を放つ。試合権利者の高村を何とかリングに帰そうとするESだが、あと一息というところでデビルが高村へスライディングキック。高村が場外へ転落させられた瞬間、場外20カウントが数えられた。
オリビア 「どないや! 見たか? 見たな? 見たやろ! うちらの勝ちや〜〜〜!」
 足元をふらふらさせつつもリング上で勝ち誇るオリビアに、場内は大ブーイング。
オリビア 「どんな手を使っても勝ちは勝ちや! うちはとってもご機嫌ちゃんやで〜! どうや高村!望月!青柳! お前らな、うちらの頭脳的作戦にかかったらこの程度や!」
 これに対して、ES側の3人はブラジェネに向かっていこうとする。ところがブラジェネはあっさり反対側からリングを降り、逃げ出していく。
オリビア 「叩きのめすだけがプロレスちゃうやろ! 終わってからムキになっとるのはみっともあらへんなあ! まあええわ、そのばかっつらに免じて、今日はこの辺で勘弁しといたる〜!」

コメント:
望月登子 「あ〜すっきりしねえ! 道ばたで泥水引っかけられてそれを勝ち誇られてる気分だよ!」

青柳つかさ「頭脳的作戦ねえ…善玉がやりゃそうだけど、ヒールがやりゃただの姑息な手段ってね。あんなアホと昔組んでたと思うと頭痛いわ。高村がこれでオリビアに負けたと思ってる観客がいないってのは間違いないわね、そうでしょう」

オリビア 「前回のタッグ挑戦したチームを、完璧に抑えて勝利したやんか、うちら。こうなったら、次のタッグ挑戦者はブラジェネから出すしかあらへんよなあ〜」
 
第6試合6人タッグマッチ30分一本勝負
川部雪江
MACHIKO
香取梢
vs ソーニャ
鬼姫結梨花
LINA
12分32秒、ノーコンテスト
 リングに上がった鬼姫が、赤コーナーのMACHIKOに向かってマイクで声をかける。
鬼姫結梨花 「ねえねえMACHIKOさ〜ん、時間はたっぷり、約一週間もあったでしょ〜?REIKOさんに勧誘された返事、聞きたいんだけどさー。どうなのよそこのところ」
 しかしそれに応えたのは川部雪江。
川部雪江 「結梨花、MACHIKOさんは私と一緒に闘ってくれるって、一年前に約束してくれたの。もうヒールには戻らないわ」
鬼姫結梨花 「お姉ちゃんには聞いてないでしょ。わたしは、MACHIKOさんに聞いてるの。だいたいそうやってMACHIKOさんを自分のものみたいに扱うのはどうなのよ。MACHIKOさんにだって野心はあるんだけど、拾われた恩でそれを必死に隠して正規軍に尽くしているわけなのよ。なのにちっともチャンスは来ない。あーこりゃこりゃ」
MACHIKO 「うるさい、黙れ…」
鬼姫結梨花 「本性を認めましょうよ〜、MACHIKOさんはヒールから離れられないんだってば!」
川部雪江 「正々堂々とテクニックで勝負する、今のMACHIKOさんの本当の姿よ」
ソーニャ 「ちょっと、ここで2人が言い合っても仕方ないわ。本当のところがどうなのか、試合で見せてもらいましょうか」
鬼姫結梨花 「よーし望むところだ!」
川部雪江 「信じてます、MACHIKOさん」
MACHIKO 「・・・・・・」
 そして、ゴングが鳴る。

 まずは香取とLINAが先発。腕の取り合いからLINAがアームホイップを仕掛けるが、香取は投げられた直後に起きあがってそのままロープリバウンドからドロップキック。さらに、LINAの正面からフロントネックロックを仕掛ける。LINAはロープへ足を伸ばしてブレイク。その後も香取が堅実な試合運びでLINAを攻める。そこで飛び出してきた鬼姫とLINAが同時に香取に向かい、LINAのホイップ直後に鬼姫がエルボードロップを放って香取を場外に追い払う。ところがすぐさまMACHIKOが鬼姫とLINAを同時にからみつかせる卍コブラを決めていく。
 川部と鬼姫が対峙。鬼姫がにやりと笑うと川部の胸元へ逆水平チョップを放つ。デビューごと比べてずいぶんと体の大きくなった鬼姫は、それに見合ったパワーも持ち合わせるようになった。川部は予想外の威力に後退するが、姉の威厳を見せつけるとばかりに踏みとどまり、こちらも珍しく逆水平チョップでやり返す。何度かお互いに打ち合い、再び鬼姫が逆水平を放ったとき、川部はこれをガードすると素早く脇固めに。前転して回避しようとした鬼姫だが、背後を取られてスリーパーホールドで絞めあげられてしまう。ここはテクニックの差を見せつけられた形。
 ソーニャの香水目つぶしで動きを止められた香取は、先ほどのお礼とばかりに放たれたLINAのミサイルキックをまともに浴びてしまう。さらに口紅で落書きをされる香取だが、これで我慢の限界に達し小魔神モードへ。LINAを小魔神スイングで振り回すと、ソーニャにスタナーを仕掛けつつ、同時に鬼姫をDDTでマットに叩きつけるという強引ながらもテクニックを感じさせる技を繰り出していく。そして力任せに鬼姫をフロントネックロックで絞めあげるが、ここは体重差が影響してそのままノーザンライトスープレックス風に投げ飛ばされてしまう。ここでMACHIKOが鬼姫に掌底を一発からフルネルソンに捉え、川部を呼び込む。川部は捕まえられている鬼姫に向かってランニング掌底を仕掛けていく。ところが直前でMACHIKOが鬼姫を解放すると、MACHIKOが川部の腕を捉えて脇固めへ。さらに鬼姫も逆の腕を脇固めに捉え、ダブル脇固めで川部を攻め立てる。香取が何とかカットするが、今度はソーニャとMACHIKOが香取を合体バックドロップからのダブル腕十字とやりたい放題。ここにいたってMACHIKOの完全な裏切りが確定。収拾がつかなくなったと判断したレフリーは、ノーコンテストの裁定を下した。
 呆然とする川部と香取をよそに、ファニーウイングスの面々と握手をするMACHIKO。そしてマイクを持つ。
MACHIKO 「あのさあ。悪いけど、私はやっぱりヒールじゃないと物足りないんだわ。だいたい、なんでまだこの年でまるで落ち目のベテランみたいに正規軍のお守りをしなくちゃなんないのよ。私にだってね、まだまだ成長期なんだから」
鬼姫結梨花 「そういうことで、MACHIKOさんはこっち側でした〜っと。これからは存分に、血を見ちゃっていいからね〜」
MACHIKO 「そうね、やっぱり相手を血化粧でメイクアップしてこその私よ。1年間くすぶってた分は、これから取り戻させてもらうわ」
 ファニーウイングスが引き上げようとするところ、リング上で動きを止めていた川部がなんとかMACHIKOの捨てたマイクを拾い呼び止める。しかし、後が続かない。結局、一言絞り出しただけだった。
川部雪江 「信じてたのに〜!」

コメント:
鬼姫結梨花 「うっひゃっひゃっひゃっひゃ〜、あー楽しい。もう本当に心強い味方が来てくれたわ〜。やっぱりね、わたしたちがやり合ってるのはオリビア組でしょ、そうなるとREIKOさん達の手を煩わせないように戦える戦力がもう一人欲しかったわけよ。そこを考えると元オリビア達のチームメイトで恨み骨髄のMACHIKOさんは完璧。ヒールとしても大先輩! もう完璧すぎてこんなアイデアはないわ!あっはっは」
MACHIKO 「聞いての通りよ。私がこれから上に行くためには、正規軍の若手のお守り何かしていててもしょうがないって事よ」
 
第7試合タッグマッチ30分一本勝負
×REIKO
豊嶋奈美
vs NANA○
カーシャ・イワノヴナ
8分55秒、飛びつき式腕ひしぎ十字固め
 ファニーウイングスの同期コンビに、NANAとカーシャという関節姉妹コンビがぶつかるセミメイン。まずは豊嶋とカーシャが先発。カーシャがドロップキックを放つが、豊嶋は横に動いてこれを回避すると起きあがったカーシャの髪をつかんで引きずるように抱え上げボディスラム。さらに倒れたカーシャの顔面をつま先で小突いていく。さらに豊嶋はカーシャの腕をロープに引っかけて場外を向かせる形で磔にすると、その背中に向かって強烈な正面跳びのドロップキックを叩き込む。容赦のない重い責めに苦しむカーシャ。しかしエルボーを見切ったカーシャはサンボ得意の飛びつき膝十字で豊嶋の足殺しを仕掛ける。
 カーシャがNANAと交代したのを見て、豊嶋もREIKOとチェンジ。リングを縦横に使って動き回るNANAを捉えきれないREIKOだが、腕を取られた瞬間NANAの顔面へ強引なパンチを叩き込むと、一気に逆エビ固めへ持っていく。スピード感とテクニックを見せようとするNANA組だが、FWコンビは強引に流れを断ち切るという形で、プロレスの怖さを見せつけていく展開。コーナーでストンピングの嵐を受けてグロッキーになるカーシャだが、それでもフロントスープレックスで豊嶋を放り投げ、REIKOにはダイヤモンドダストで反撃して脱出。カーシャの頑張りを見て火がついたNANAが、REIKOを電光石火の飛びつき腕十字で固め、強引には強引をと一気に絞り上げる。REIKOは耐えきれず、ギブアップ。
 REIKOは腕を押さえながらもマイクを要求。
REIKO 「ふん、相変わらずこういうことだけは得意みたいね。やっぱり、お前の本質はこっちの方よ。ギミックで楽しくやってるのもいいけど、あんたに流れる竜の系譜、その本質を満たすことは出来るかしら…? その餓えを満たすことの出来る戦場がどこなのか、経験したことがあるでしょ。 他のどこでもない、その戦場でまみえることが出来るといいわね」

コメント:
カーシャ・イワノヴナ 「…申し訳ありませんでした、NANAお姉さま」
NANA 「ほぇっ?」
カーシャ・イワノヴナ 「なんだか不本意な試合展開にさせてしまって…」
NANA 「むぅっ、カーシャちゃんが気にすることはないのだ。カーシャちゃんだって頑張ってたんだし…こ〜なっちゃうときもたまにはあるのだ」
カーシャ・イワノヴナ 「しかし、REIKOさんもひどい言い様ですよね」
NANA 「むぅ〜っ、REIKOさんが言いたいことは分からなくもないけどね、REIKOさんが見てる道と、NANAが今歩いてる道はぜんぜん違うのだ」
カーシャ・イワノヴナ 「でもMACHIKOさんまでFWに行っちゃうとは…どうなるんでしょうね?」
NANA 「そんなに心配なら、カーシャちゃんWWPLに戻っちゃえばいいのだ♪」
カーシャ・イワノヴナ 「へっ?」
NANA 「わ〜お、それはすっご〜くいいあぃでぃ〜あなのだ♪ むふふっ、さっそく香織さん(WWPL社長夫人)のところに行くのだぁ♪」
 がしっとカーシャの腕を掴む。なぜか「あぃでぃ〜あ」は完璧な英語の発音であった。
カーシャ・イワノヴナ 「ちょっと、お姉さまぁ〜、勝手に決めないでくださいよ〜(汗)」

REIKO 「戦場がどこかって? あたしが何を言いたいのか分からない奴には、そこに行く資格も必要性もないわね。奈美は分かる?」
豊嶋奈美 「さあ? 私には、今自分が立っているところが一番だから。呼ばれれば行くかもしれないけれど、基本的に興味ないわ」
 
第8試合WWPL無差別級タッグ防衛戦45分一本勝負
王者組
ラブリーベル
スペル・ティグレス
vs 挑戦者組
キャノンボール焔
マンティス笹倉×
<アンバランス>
16分39秒、ラブリーロック
※第8代王者が3度目の防衛に成功
 スペル・ティグレスの指名でWWPLタッグの挑戦者となったアンバランス。25日ではエクストリーム・ストームにしてやられたが、それをタイトルマッチに活かすことが出来るか。両チームとも、正々堂々試合をしようと、握手を交わしてからコーナーへ下がる。
 まずはベルと笹倉が腕の取り合い。堅実な切り返しをしていく笹倉に、大きな動きやモデルウォークといったアピールを混ぜながら対応していくベルと、互いのスタイルが垣間見えるさぐり合い。ベルは笹倉をロープに振ると、リープフロッグから長い足を広げたまま着地し、さらに後転してリバウンドで戻ってくる笹倉の胴を足で挟み込みからだを起こす。そして笹倉の腕を取ってアームドラッグ。手足の長さを存分にアピールするムーブに、会場からため息が漏れる。それならばと笹倉は腕の取り合いから身を翻してスリーパーホールドへ。細い腕が絞め技に置いては効果的に使われ、ベルのスタミナを奪っていく。
 ベルは笹倉を自軍コーナーに押し込んでティグレスとチェンジ。ティグレスはフライングメイヤーで笹倉に尻餅をつかせると、背後のセカンドロープに飛び乗ってその反動で笹倉の背中へスワンダイブキック。思わず場外へ転がり出る笹倉。すかさず焔がコーナーから飛び出ると、まずはティグレスにエルボーバットをぶつけていく。さらにコーナーで控えるベルにもエルボーを叩き込むと、ロープリバウンドで勢いをつけたショルダーアタックでティグレスにぶつかっていく。受け身を取ったティグレスは後方回転して素早く起きあがると、ロープを指さして「もう一回やってこい」とのジェスチャー。受けて立った焔だが、今度はこれをティグレスがサイクロンホイップで放り投げ、さらにリングを動き回りながらアームドラッグで焔を投げ捨てる。
 テクニックで王者組が優勢に試合を動かす中、アンバランスはとにかく気合いで体ごとぶつかっていく戦法に出る。とにかくエルボーのバリエーションを繰り出していく焔、執拗に丸め込みを仕掛け、また絞め技でスタミナを奪いに行く笹倉。そして焔のエルボー・スイシーダがティグレスに決まり、リング上で笹倉がベルを逆さ抑え込みに。これで試合を決めたかったアンバランスだったが、ベルはギリギリでフォールを返す。仕留めきれなかった落胆から動きの止まったアンバランスに、ティグレスのティグレスボンバー、ベルのデスバレーボムが襲いかかる。そして最後はベルの必殺、ラブリーロックで笹倉がギブアップ。今年最後の試合を、王者組が防衛成功で締めくくった。
ラブリーベル 「何度も冷や汗をかきましたわ。指名しただけの試合をして下さいましたわよね、お客様?」
 息を整えた後のマイクアピールに、観客席からアンバランスへ向けての大きな拍手がわき起こる。
ラブリーベル 「世間もマット界も様々な良いこと悲しいことなどありましたが、終わりよければ全てよし。みなさま、今年一年間本当にお疲れ様でしたわ! わたくしたちも来年更なる飛躍を誓い、締めさせて頂きますわね。それでは全ての方々。良いお年を!」


コメント:
スペル・ティグレス「今年最後でいい試合ができて、しかもアンバランスさんに勝つことができて本当、うれしいですっ!これもファンの皆さん、それからベル様のおかげですっ!ありがとうございましたっ!来年もまた、精一杯がんばりますんでよろしくおねがいしますっ!」

キャノンボール焔「・・・言うべき事は、全てリングの上で語った! 全力を出したけど負けた。それだけ!」
マンティス笹倉「ん、まぁ。そゆことやね。もう、勝てんわ・・・今年はね」
キャノンボール焔「もう勝てない?! 冗談じゃ・・・って、ん?! 今年って・・・」
マンティス笹倉「・・・そぅよ。明日も同じ結果やとは限らんっちゅう事!」