9月4日(日) 鳥取県鳥取産業体育館 | ||
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試合開始前に望月が、前回興行で奪取したばかりの無差別級シングルベルトを肩にかけて登場する。リングインの直前に、望月がリングサイド席へ目を向ける。そこに座っているのは、REALのエース、ストーム水戸。望月は片方の眉をぴくりと上げるが、すぐに視線をはずしてロープをくぐる。 望月登子 「見ての通り、このあたしがWWPLのチャンピオンだ。これでファニーウイングスは全てのベルトを失って、チャンピオンチームとしてWWPLの舵取りをするっていう名目はなくなったわけだ。とは言っても、それじゃあ誰がってことになると…あたしはそういう面倒なことはやりたくないんでね。REIKO、代わりに頼むわ」 これを聞いて飛び出してきたのは、タッグ王者であるラブリーベル。 ラブリーベル 「ちょっとお待ちなさい! あなた方は元々結託していたのですからそういうことは予想は出来ましたわ。しかし、ファニーウイングスが奪われたタッグベルトを取り返したわたくしたちと、ただ仲間内でベルトを持ち回しただけのあなた方と、どちらが団体に貢献しているのかは、火を見るより明らか! ファニーウイングス体勢等という不埒なものは、今日を限りに終わらせなさい!」 それを聞いた望月は、しかし落ち着いた様子で対処する。 望月登子 「ああ、まあ、お前がそういうだろうってのは予想できたんでな。今日のメイン、あたしとREIKOのタッグと、お前らタッグ王者組のカード組んでおいたよ。直接やり合えばはっきりするだろ」 ラブリーベル 「そうですわね。タッグ戦でタッグ王者であるわたくしたちに挑むその勇気は流石望月さん。お受けしますわ、ベルトを譲ってもらったチャンピオンさん」 この言葉に、望月の表情が変わる。 望月登子 「…前言撤回して、お前とのシングルを先にやってもいいんだぞ」 ラブリーベル 「わたくしはそれでも構いませんわよ?ただ、ベルトを賭けて頂くのが条件ですが」 険悪なムードになりかけたところに、REIKOが登場する。 REIKO 「落ち着きなさいな。今日勝って、好きにカードを編成すればいいのよ。もちろん、ベルトのシングルもね。今日は協力してくれないかしら?」 望月登子 「しょうがねえな。おい、ベル、REIKOのおかげで長生きできそうだな?」 ラブリーベル 「まるで悪役の台詞ですわね。では、わたくしもひとつ。首を洗って待っておきなさいな?」 一触即発の雰囲気の中、望月とベル、両者背を向けて引き上げていく。それを見届けて肩をすくめたREIKOが、この日のカード発表を行った。 |
■第1試合15分一本勝負 | ||
×長宗我部美幸 | vs | 幸希美○ |
8分31秒、餅つきパワーボム | ||
長宗我部が珍しくシングルマッチを行う。幸はどのような手で来るのかと警戒するが、長宗我部は至って基本的な腕の取り合いからグラウンドと、いつもの間を空かすような動きを一切見せない。幸はその気配を悟ってか、それならばと正面からパワーを活かして押していく。長宗我部は腕4の字固めを中心に腕責めを見せるが、幸はクロスアームバー狙いを持ち上げると一度叩きつけた後で引き起こす。そして得意の餅つきパワーボムで長宗我部を仕留めた。 コメント: 幸希美「シングルでやるときは奇策もないし苦労しないね。安パイかも。まあ、それはそれとして…だいぶん慣れてきたんでそろそろ自己主張させてもらおうかと思うんですけどね?なんか、ファニーウイングス、上の方はまあいいとして、その上の方のパシリのくせにえらそうなのが二人いませんか?パシリはパシリらしくしてろっつーのよほんと。誰とは言わないけど」 |
■第2試合6人タッグマッチ30分一本勝負 | ||
×MARINA カエデ コットン環 |
vs | 青柳つかさ 香取梢○ 坂本ジュリア |
11分30秒、スクールボーイ | ||
正規軍同士の攻防。まずは新人同士の坂本と環がぶつかり合う。環はボディに叩き込むローリングソバットで坂本の動きを止めると、ロープリバウンドで勢いを付けて打ち抜くようなローリングソバットで坂本の顎を蹴り飛ばす。それでもロープへもたれてダウンだけは防いだ坂本。そこに突っ込み組み付こうとする環だが、坂本は組み付いてくる勢いを利用してスタンガンホイップで環をロープに叩きつけ、場外へ逃げていく。環もロープでしたたかに打った喉を押さえ、咳き込みながら反対側のエプロンから場外へ。 新人の動きを見て負けていられないと他のメンバーの動きにも気合いが入る。カエデのティヘラ、香取のDDT、MARINAのヘッドバット、青柳の蹴りと各人の個性が爆発。最後はMARINAの串刺しヘッドアタックを避けた香取が、コーナーバックルに頭を打ってふらつくMARINAをスクールボーイで丸め込んで3カウントを取った。 コメント: 青柳つかさ「とりあえず仕切り直し。ファニーウイングスからベルトは無くなったけど、だからって狙うのやめた訳じゃないかんね。まあ、川部やおまちとは相談だけど…どういう組み合わせになるにしろ狙っていくよ。」 香取梢「ちゃんとしたプロレスができるのはわたし達正規軍だけだと、これではっきりしたと思います。いろいろ好き放題言ってる人たちがいますけど、ちゃんと結果を出してからにしてほしいですね」 |
■第3試合タッグマッチ30分一本勝負 | ||
×鬼姫結梨花 LINA |
vs | MACHIKO 沢田ちひろ○ |
12分22秒、片エビ固め:オレンジスタンプ | ||
ウェルター王者として貫禄も出始めた沢田。先代王者の鬼姫相手に果敢な突撃を見せる。LINAは自分を無視するなと横合いからミサイルキックで沢田に襲いかかり、場外へ逃げた沢田へさらにトルニージョで追撃。しかし沢田も場外でのボディスラムやブレンバスターで一矢報いる。 中盤以降はMACHIKOがLINAを抑え、沢田を鬼姫に集中させる。テクニックでも体格でも鬼姫が有利。しかし沢田は前に出る勇気を失うことなく、またスタミナが尽きぬかのように動き回っていく。そして、みかんを投げつけて鬼姫を昏倒させた沢田、すかさずダイビングフットスタンプから押さえ込む。鬼姫、肩を上げたもののレフリーはカウントが三つはいったと沢田の勝利を宣言した。カウントミスだと何度も抗議する鬼姫だが、聞き入れられない。怒った鬼姫はレフリーを突き飛ばすが、これに対してレフリーの芹沢は鬼姫を蹴り飛ばして、沢田の勝利を宣言した。 コメント: MACHIKO 「立派立派。気持ちだけじゃなくて技術も伸びてきてるし、沢田のこれからが楽しみね」 鬼姫結梨花 「くっそー、芹沢め〜」 LINA 「沢田が伸びてきてる?それは違うと思うな! レフリーが沢田の肩を持っていたってことでしょ。レフリーのせいで、沢田にけちがついちゃったんじゃない?」 |
■第4試合6人タッグマッチ30分一本勝負 | ||
セラフィム・レイ キャノンボール焔 ○マンティス笹倉 |
vs | オリビア× デビル・メイガス 華山麗子 |
15分27秒、スモールパッケージホールド | ||
レイ&アンバランスを入場中に襲撃しようとしたブラジェネだが、待ちかまえられており見事に迎撃されてしまう。あわててリングに上がったオリビアは、「よっしゃ正々堂々と勝負や!」と叫ぶ。が、観客からは苦笑と野次が飛ぶ。アンバランスのタッグワークは安定しており、ブラジェネのレッドボックスやレフリーの注意をそらしての合体攻撃などを受けてもすぐにリカバリーしていく。最後はオリビアの阪神タイガースープレックス狙いを振りほどいた笹倉が、スモールパッケージホールドで丸め込んで試合終了。 コメント: キャノンボール焔「甘いっ! 勝負はゴングからじゃなくて、入場時から始まってる!」 マンティス笹倉「そゆこと。何ば仕掛けちくるか、あらかた読めちょるし。伊達に今まで渡り合っちゃ来とらんとよ?!」 |
■第5試合タッグマッチ30分一本勝負 | ||
△豊嶋奈美 ソーニャ |
vs | 川部雪江 カーシャ・イワノヴナ△ |
14分51秒、リングアウト | ||
ゴングの前に、ソーニャがマイクを要求。 ソーニャ 「延期になってたVWGPタッグが、11月に行われるそうね。ユキエ、私と一緒に出てみない?」 川部雪江 「…どうして、敵であるソーニャさんと一緒に出なければいけないんですか」 ソーニャ 「つれないわね。私達、REALでのタッグ戦績は抜群だったじゃない。そこで見ているREALのエースも含めて、まとめて倒して回るチャンスでしょ」 川部雪江 「それだけが理由ですか?信用できない相手と組むつもりはありませんから」 豊嶋奈美 「交渉決裂のようね。さあ、早く試合を始めましょう」 ソーニャ 「ナミ、ベルト取られた八つ当たりをしたいだけでしょ?」 先発を買って出た豊嶋は、カーシャに強烈な正面跳びドロップキックを決めると、キャメルクラッチで絞り上げる。展開を考えてのレスリングではなく、強引に技を繰り出す豊嶋。この強引さに引きずり込まれたカーシャは、しかし隙を見ての飛びつき腕ひしぎを見せて反撃。 ソーニャと川部は激しいグラウンド戦を見せる。ポジショニング中心ながらも、隙あらば関節を取りに行こうとする双方の動きはめまぐるしい。立ち上がっての打撃戦も五分に、しかしソーニャが香水目つぶしでアドバンテージを取り、川部の背後へ回る。チョークスリーパーを狙って川部の首に腕を巻き付けるソーニャだが、川部はその腕を取って一本背負いでソーニャを投げ飛ばす。しかし、目をやられた川部はそのままカーシャと交代していく。 カーシャは序盤に苦しんだ強引さの目立つ豊嶋を、しかしその粗さをついて優勢に試合を運ぶ。ソーニャとの連携を阻止し、川部と共にダブル大外刈りをしかける。場外へ逃げた豊嶋へ向かって、カーシャがホーロドニー・スメルチ(スワンダイブ式トルニージョ・スイシーダ)で降りかかる。直撃を受けた豊嶋は、それでも立ち上がって場外でのJOスープレックスをカーシャへ叩き込む。ところが、豊嶋もそこでばったりと倒れてしまい、立ち上がれず。結果、場外カウント20で両者引き分けとなった。 ソーニャは豊嶋に、川部はカーシャに肩を貸しつつも視線を交わし、睨み合い。さらにリングサイドの水戸も含めて、三角形の火花が飛んでいた。 コメント: 豊嶋奈美 「熱々の三角関係みたいだけれど、私が無視された格好なのは気にくわなかったわ」 ソーニャ 「まったく、ユキエも頭が固いわね。外に討って出るときや外敵が殴りこんできた時くらい、一時的に諍いを忘れて結束するのもトップとしての度量だと思わない? こんなだからいつまでたっても『次期』とか『候補』って単語が『エース』から取れないのよ」 カーシャ・イワノヴナ 「正直勿体無い引き分けでしたが、場外であの投げをくらって、起き上がれという方が無理な話ですよ…でも、今日の試合を見る限りでは、私のつけ入る隙はいくらでもありそうですね」 さて、リングサイドにいただけに行動を起こすのか注目された水戸だったが、セミファイ ナルでの視殺戦以外は大きな動きを見せなかった。その水戸を大会終了後に各マスコミが 体育館前で囲み取材をしてコメントを引き出した。 ストーム水戸「なんで来たか?解ってんでしょ?あたしは、川部雪江に大きな借りがあんの。今度からそれを三倍返しに来るから、今日はその挨拶代わり。それに、川部だけじゃなくて此処にはおもしろそうなのがいっぱいいるからね、一石二鳥じゃない?来週から、うちと被らないところは上げてもらうように話は付けたから。そういうこと。行動を起こさなかったのは何でか?参戦認めてくれた松井さんへの礼儀よ」 と、WWPLへの参戦宣言をしてその場を立ち去った。 |
■第6試合タッグマッチ30分一本勝負 | ||
○望月登子 REIKO |
vs | ラブリーベル スペル・ティグレス× |
14分1秒、体固め:最強ハイキック | ||
やる気満々といった風情のラブリーベルは、望月に出てこいと挑発。望月もそれに応えようとするが、REIKOが「チャンピオンばっかりで肩身が狭いんだから最初の目立つところくらい譲ってよ」と先発をせがむ。望月はしょうがない奴だな、との態度は見せるが、コーナーへ引っ込む。 REIKOの腕を取り、固めようとするベル。しかしREIKOは切り返してロープへ振り、まずはドロップキックでファーストヒット。今度はベルがREIKOをロープへ振り、リープフロッグから開脚したままマットにぺたりと張り付き、後転して起きあがる。そしてREIKOをアームドラッグで放り投げ、まずは五分の立ち上がりを見せる。REIKOはベルを青コーナーにホイップすると、ティグレスを手招き。メイガスからティグレスになってからの初対戦、REIKOがティグレスに大きな興味を見せる。 ティグレスは元気よくショルダーアタックでREIKOにぶつかっていく。さらにケブラドーラ・コン・ヒーロやタイガースピンなどを見せてアピール。しかしREIKOはサミングから髪をつかんでのショルダーネックブリーカーとラフな攻めを行った後、望月と交代する。 5分過ぎ、やっと望月と戦う番が回ってきたベルは、長い足を目一杯使ってなんと蹴り合いを挑む。しかし、望月はハイキックを受けてもなお倒れず、逆にわがままな膝小僧でベルを蹴り倒す。そして力任せのボストンクラブ。ベルの長い足が反り返って自分の頭に届きそうになるほどにきつく攻める望月。望月の厳しさ、ベルの体の柔らかさに、どよめきが起こる。ここはティグレスがカットする。カット阻止に出てきていたREIKOに対して足を狙ったティグレスボンバー、シャラポワを放つと、大きく足をすくわれたREIKOは頭部をマットに強く打ち付けてしまう。 タッグワークで勝るベルとティグレスは、ベルが意識していることもあって望月に狙いを定めていく。しかし、分断したと思って安心し、REIKOをフリーとしてしまったために、ベルがREIKOに場外へ引きずり込まれてしまう。最近影が薄かったファニーウイングスのマネージャー、ガードにベルが捕まってしまい、セクハラ攻撃を受けてしまう。 その間にリング上で望月の重い蹴りがティグレスに炸裂。ティグレスボンバーを前蹴りで止められ、それでもパワーボム狙いをリバーススープレックスで切り返すティグレス。さらにウルトラタイガードロップで追撃をかけたが、フォールしたもののREIKOがレフリーの注意を引いており、カウントが入らない。勝機を逸したティグレス。望月はティグレスの顔を張ると、一瞬棒立ちになったティグレスに、最強ハイキックを叩き込む。大の字に倒れたティグレスを抑え込み、望月が貫禄勝ち。 コメント: 望月登子 「まあこんなとこだろ。先代とは違って、あたしはタッグでも実績持ってるんだよ」 スペル・ティグレス「流石はシングルのチャンプだね。WWPL内の権力には興味はないけど、水戸さんといいもっちー先輩といい、おいしそうな獲物だなって言っておくよ」 |