3月27日(日) 福岡県博多スターレーン | ||
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■第1試合 | ||
×九頭竜紅葉 | vs | 坂本ジュリア○ |
9分43秒、片エビ固め:デススパイラル | ||
九頭竜が坂本の腕をとってひねり上げるが、坂本は側方宙返りから切り返す。テクニックでは九頭竜が勝っているが、坂本は瞬発力でそれをはねのける。それでも九頭竜はゴライアス・バードイーターで坂本を捕らえ、ギブアップを迫る。坂本は気合いでこれに耐えきり、九頭竜は極めきれないと悟って技を解く。坂本は攻められながらも抱え式バックドロップで九頭竜をマットに叩きつけ、コーナーへ。場外を向いた状態から振り返りつつのセントーン・アトミコを放ち、すかさず押さえ込んでカウント3。デビュー戦の相手から、初勝利をもぎ取った。 コメント: 坂本ジュリア 「気合いで耐えきれば、あとは攻めるだけ!やったね初勝利!」 |
■第2試合 | ||
香取梢 ○長宗我部美幸 MARINA |
vs | 支倉千代 風祭元気 霧島杏子× |
14分40秒、反則 | ||
味方の香取が目を光らせているため、渋々真面目に試合をする長宗我部。支倉がMARINAをフォールしたとき、長宗我部はレフリーをひっくり返してカウントを止めさせようとするが、それより早く香取がカットに成功し、長宗我部をにらみ付ける。さらに香取は動きの悪い風祭を攻め込み、DDTからフォール。しかしこれは霧島がカット。長宗我部はレフリーを盾にして支倉の突進を受け止めようとする。あわよくばレフリー暴行で支倉に反則をと狙ったが、これも香取が飛び出して自分がぶちかましを受けて、まさに体を張って阻止する。長宗我部はレフリーと絡まって場外へ落ちてしまうが、すぐに復帰。頭に来た香取は敵味方の区別無く暴れ始めてリング上は混乱状態になる。MARINAは小魔神スイングで振り回され、風祭にぶつけられて二人でノックダウン。リングの下に潜り込んで避難していた長宗我部が姿を現した頃にはなんとか香取も落ち着いていたが、疲労から動けない。霧島がパンチの連打で長宗我部を追い込み、フォールする。ところがカウント中に何故かレフリーのポケットから携帯電話の着信音が。レフリーは不審に思いつつポケットを探ると、自分の携帯電話が出てくる。これでカウントを止められてしまった霧島は、レフリーの手から携帯電話を取り上げてマットに叩きつけ、破壊してしまった。レフリーはこれを見て、霧島の反則負け裁定を下した。倒れている長宗我部の、霧島から死角になっていた手に、携帯電話が握られていたことは秘密である。 コメント: 長宗我部美幸 「まったく霧島さんは、柊さんの携帯電話を壊してしまうなんて、ひどい人ですね」 霧島杏子 「真剣勝負の最中に携帯電話とは言語道断です。もう少し真面目にやってもらわないと・・・」 支倉千代 「周囲の方々の迷惑になりますので、試合中は携帯の電源は切るようにしましょう」 |
■第3試合 | ||
MACHIKO ○青柳つかさ |
vs | 雅 華山麗子× |
10分33秒、片エビ固め:無双乱舞 | ||
MACHIKOのフォローを受けた青柳がいい動きを見せ、打撃で押していく。雅のスピードに苦しんだが、斬月に対して自分から頭をぶつけて威力を殺し、逆に正拳突きで反撃。最後は華山を無双乱舞で仕留めて、ブラジェネを一蹴した。 コメント: 青柳つかさ 「まあ、MACHIKOとはある程度手は合うからね、順当でしょ?てか、雅と華山じゃ相手にもならんわな。歯ごたえどころか手応えも蹴り応えもないわ。あ、あと京に関してはね、山陰道場で一緒にやってたわけだけどさ、治るまで帰ってくんな、と。ホントに戻る気があんなら、きっちり治してきなってこないだ会いに行ったときには言っといたけどね、まあ帰ってくるんじゃない?」 |
■第4試合 | ||
○望月登子 | vs | カーシャ・イワノヴナ× |
14分48秒、膝フォール:最強ハイキック | ||
望月の強烈なキックに苦しみながらも、グラウンドに引きずり込んで脚殺しを狙っていくカーシャ。脚へのダメージから動きが鈍りだした望月。カーシャはロシアンフック、踵落としと打撃中心からブリザードでフォール。しかし望月はカウント2で返すと、パワーボムからツイスターと決めてフォール。カーシャもこれを返し、意地を見せる。立ち上がったカーシャはハイキックを狙うが、望月はこれをガード。逆に最強ハイキックを浴びてしまい、試合終了。 コメント: 望月登子 「脚を狙われたからこそ、キックで勝負を決めたかったんでね。なんでかって?決まってるだろ、あたしはヒーローなんだから」 カーシャ・イワノヴナ 「脚を狙いにいったんですが、決め切れませんでした。さすがに1対1の試合でまともにぶつかって、簡単に勝たしてくれる相手ではないですよね」 |
■第5試合WWPLウェルター級王者決定戦 | ||
○沢田ちひろ | vs | LINA× |
15分23秒、E・オレンジスプラッシュ ※沢田ちひろが第14代王者に |
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予選の勝ち点からはLINAと西園寺が決定戦出場となるはずであった。しかし、直接対決において西園寺が重傷を負い、3位の沢田が決定戦に進出。一度は経たれた望みを繋いだ沢田か、西園寺を病院送りにしたという重圧を背負ってしまったLINAか。同期のライバルが激突する。 序盤はロープワークやグラウンドの応酬で会場を暖めていく両者。ロープワーク合戦では動きの早いLINAが、リープフロッグや伏せた状態から跳ね起きてのドロップキックなどで優勢。グラウンドでは沢田が上のポジションをとっていく。沢田をコーナーに押し込んだLINA、串刺し式のダブルニーアタックを仕掛けると、エプロンへ出て倒れた沢田へ向けてトペ・アトミコ。流れるように技を繰り出すと、沢田を引きずり起こして正面から組み付く。沢田の腕を自分の首に絡め、沢田の脚を交差させて持ち上げる。このまま下に落とせばパーフェクトドライバーなのだが、先日西園寺を病院送りにしたことが頭をよぎったのか、LINAが選択したのはパーフェクトドライバーではなく、その状態から背後にフィッシャーマンバスター風に叩きつける「ネジと橋」。攻め立てていたはずのLINAは少々顔色を青ざめさせ、コーナーでロープを掴み、うつむいてしまう。セコンドの鬼姫が声をかけLINAが振り返ると、そこへ沢田が胴タックルで突っ込んだ。沢田はブレンバスターから股裂き式の逆エビ固めを仕掛け、LINAがロープブレイクをすると、起きあがらせてのフルネルソンからLINAを回転させ、自らも回転してのローリングエルボー。そしてセントーンから押さえ込むが、カウントは2。 LINAのトラースキックが沢田に決まり、沢田はコーナーへ向かって倒れる。と、沢田に向かってセコンドの長宗我部がみかんの入った篭を手渡そうとしている。鬼姫が長宗我部を蹴り飛ばしてこれを阻止するも、沢田の手にはみかんが二つ。連続でLINAに投げられたみかんは、初弾こそ避けられたものの二発目がクリーンヒット。倒れたLINAに、沢田はコーナーに上ってオレンジスタンプを狙う。しかしこれも鬼姫がトップロープを揺すってバランスを崩させ、LINAがコーナーを駆け上って沢田を捕まえる。そして雪崩式ネジと橋を発射。リング上に倒れた沢田を見て、LINAは再びコーナーへ。フィニッシュアピールからのマッドスプラッシュを放つが、沢田はこれを膝で迎撃する。そして最後は「愛媛のぉ、オレンジぃスプラッシュぅ!」の声と共に旋回式ボディプレスを決め、ウェルター級ベルトを奪取した。 コメント: 沢田ちひろ 「ふいぃ・・。いろいろあったけれどLINAちゃんにはどうしてもお返しをしたかったからぁ、決定戦ができてよかったですぅ。ちひろはやっぱりぃ・・みかんからは離れられないですぅ。ちゅ!(実家から届いた夏みかんにキス) いつものはじけたLINAちゃんや帰ってくるはずの結梨花さんと力負けしない試合をしていきたいですぅ。にこ」 沢田はとまどいながらも初戴冠にうれしそうに答えていた。 LINA 「西園寺さ…西園寺のことがあったから負けたんじゃないか、なんて言われるかもしれませんけど、それは違うと思うな!悔しいけど、今日のは力負け。ファニーウイングスの一員として、恥ずかしくない試合をした自信はあるからね。あーあ、だけど結梨花が戻ってくるまで私がちゃんと保管したかったんだけどな」 |
■第6試合 | ||
ソーニャ&REIKO&ディアナ vs イーグル児玉&ミシェル・インフェルノ&レーナ・グリフィス vs オリビア&刹那&デビル・メイガス |
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○ディアナ(17分26秒、体固め:リバース・ゴリー・スペシャル・ボム)デビル・メイガス× | ||
ファニーウイングス、児玉軍、ブラジェネが同じリングに上がると合ってはまともな展開になるはずもない。特に児玉軍はファニーウイングスを狙おうとしたところ、セコンド総出でブラジェネに襲いかかられて流石にペースを乱される。オリビア、刹那、デビルがミシェル、グリフィスを横列ブレンバスターの形に捕らえて放り投げようとする。そこに華山を振りきった児玉が参加すると、人数が同じでもパワーの違いから持ち上げられかけるブラジェネ。ところが児玉軍に、いやセイクリド・ファイヤに恨みがつのるディアナがブラジェネに協力し、児玉軍を見事放り投げて見せた。さらにミシェルにソーニャとREIKOの回転蹴りと延髄斬りのコンビネーションを決める。そしてREIKOがミシェルを押さえ込むが、刹那がREIKOに対してダイビングギロチンを仕掛けてカット。手柄をもらうのはブラジェネだと、ファニーウイングスを追い払おうとする。しかしファニーウイングスのトリプルドロップキックで3人とも場外に落とされるブラジェネ。ブラジェネに中指を立てて挑発するディアナだが、その背後から児玉の豪腕ラリアットが炸裂。REIKOにはミシェルのレッグラリアットが決まる。そしてグリフィスはディアナを捕まえて、イリーガル・ストレッチでしめあげる。グリフィスに相性が悪いディアナは、あわやギブアップというところまで追いつめられる。しかしここでも勝手に試合を終わらせるなとばかりにブラジェネがボックスを手にカット。グリフィスに刹那のフライングショルダー、オリビアのボディブローが同時に叩き込まれる。 3チームが入り乱れるめまぐるしい展開は、徐々に地力の差が出始めてブラジェネが追いつめられる。しかし一方的にならないのが3WAY。上手くファニーウイングスと児玉軍がやり合う中で命を繋いでいくブラジェネ。しかし切れたミシェルがファニーウイングスを放り出してオリビアを集中的に狙いはじめると流れがファニーウイングスへ。ディアナがデビルを捕まえると、ショートレンジラリアットからリバゴリボムを決めて、乱戦に終止符を打った。 めまぐるしい試合が終わり、ミシェルもグリフィスになだめられて何とか落ち着いた頃オリビアがマイクを持ち出す。 オリビア 「ちょっとええか。うちはひとつ気に食わんことがあんねん、ファニーウイングスはん。チャンピオン直々に、次のタッグ挑戦者はうちらやっていうたやないか。せやけどな、なんでベルトを持っとるわけやないお前らが勝手に雪江を挑戦者にしとんねん。おかしいやないか。うちはとっても不機嫌ちゃんや!」 REIKO 「ハア? あたしたちがWWPLの権力者よ。それが挑戦者を認定するのは当然でしょ?あんた達みたいな雑魚がなにを言うのかしらね」 オリビア 「その雑魚は現チャンピオンの片割れから3カウント取ったんやけどな?雑魚より弱いチャンピオンより弱い最高権力者様か?そら偉そうなこって」 REIKO 「一回だけの勝敗で語ってたら無限ループなんだけど、バカウサギはそれも分からないみたいね。でもいいわ、どうせファニーウイングス以外のタイトルマッチなんてこだわるのもバカらしいし、川部組とブラジェネ組で代表決定戦でもやったら?大口叩くならそれくらい勝てるわよね?」 オリビア 「上等や。いうてもうちが出るわけやあらへんけど。ほな、今日のところはこれで勘弁しといたる〜」 コメント: ディアナ 「このスタイルならあのラビット達も参加できるから、いいハンデよね。でも、必要以上に手出しをするからこうやって叩き潰されるのよ。タッグ?ユキエ達でもオリビア達でも取れないわ。あれは、ワタシ達が取り戻すんだから」 イーグル児玉 「慣れない形式に戸惑ったけど、もう把握したわよ。次はちゃんと勝ってやろうじゃん?」 ミシェル・インフェルノ 「ファニーウイングスは相変わらず勝手デース! ミー達がシングルベルトももらって、団体を正しく導いてあげないと行けないと思いマース!」 イーグル児玉 「そうね、いい加減私達にシングルの機会を寄越せって感じじゃん? こうなったら、アメリカからもうちょっと人数を連れてきてプレッシャーをかけてやるわ」 |
■第7試合WWPL無差別級シングル防衛戦 | ||
王者 ○豊嶋奈美 |
vs | 挑戦者 川部雪江× |
27分45秒、体固め:J.O.クインビー・ボム ※第6代王者が3度目の防衛に成功 |
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2004年12月に行われた、国内ヘビー級の大会であるVWGP。その決勝で激突した両者は、60分フルタイム引き分けの後に、川部のホワイトアウトでその決着を見た。これが川部の、豊嶋戦シングル初勝利であった。豊嶋はその結果に、川部の成長を認めながらも、負けたままではいられないと持ち前の負けず嫌いを発揮。そのことが正規軍を裏切り、ファニーウイングス入りを決意させてしまった。その後のシングル対決では豊嶋が勝利し溜飲を下げはしたものの、今度は川部が黙っていない。豊嶋を正規軍に引き戻すため、団体の実権をファニーウイングスから引きはがすために、無差別王者豊嶋に挑む川部。 ゴングが鳴ると、無造作に川部に近づいた豊嶋はその頬を思いっきりはり倒す。そしてリング中央で仁王立ちすると、さあかかってこいと手招き。ベルトの王者と挑戦者、という肩書きだけではなく。WWPLのまさに女王としての貫禄をにじみ出させるその豊嶋の姿に、観客は否応なく川部を「挑戦する格下」と認識させられてしまった。川部もその雰囲気に飲まれたか、豊嶋の周りを反時計回りに動き、近づけない。もう一度豊嶋が手招きをすると、ここではじめて川部が間合いを詰める。豊嶋はこの勢いを利用して川部をロープに振ると、強烈な正面飛びドロップキックを決める。川部は起きあがるとロープの反動を利用して高速のタックルから豊嶋をテイクダウン。素早くアキレス腱固めで豊嶋の脚を攻める。豊嶋は強引にこれを蹴り飛ばして技をはずすと、まだ起きあがりきってない川部を強引にブレンバスターで引っこ抜く。高速のブレンバスターで腰を打ち付けた川部は場外へ退避。しかし豊嶋は逃がさない。宇宙人トペ・コン・ヒーロの大技で追撃し、容赦をしない。しかし川部は場外で掌底、蹴りと打撃を繰り出して逆襲開始。すぐにリング上へ戻ると、ローキックで攻め立てる。 豊嶋は攻める時に深追いせず、川部の絞め技を警戒する様子を見せる。今まで川部が奪った勝利は、絞め技によるものであったためだ。だが、その警戒故に詰め切れず、10分過ぎに川部の猛反撃に遭う。掌底の連撃から膝蹴り、そしてコーナートップに据え付けられての雪崩式一本背負い。そして川部はフィニッシュを狙っての片羽絞めへ入る。豊嶋は空いている腕で締め付けを緩めようとするが、川部は強引に両足でその腕を挟み込むと、そのまま前転して仰向けになり必殺の地獄絞めへと移行する。決まったかと思われた瞬間、豊嶋は自らも回転して勢いをつけ、強引に脚を放り投げるようにしてロープまで届かせてブレイクを勝ち取る。 お互い攻め込んでも3カウント、ギブアップを奪えない時間が続く。豊嶋のJ.O.サイクロン、川部の奈落ともに決定打にならず。川部はあとは締め落とすしかない、とカウンター掌底からホワイトアウトを狙って動くが、ダメージから動きが鈍り、極めきれず豊嶋はロープへ。そこで一度豊嶋を引きずり起こし、膝蹴りを放つ。しかし豊嶋は膝蹴りを受けても倒れず、逆に膝を抱えて川部を持ち上げ、コーナーまで突進。コーナーに叩きつけられて動きの止まった川部を抱え直し、奥の手であるJ.O.クインビー・ボム発射。30分を前にして、豊嶋が防衛に成功した。 防衛に成功したベルトを腰に巻き、豊嶋がマイクを握る。 豊嶋奈美 「分かったでしょう。まだ私とあなたとの差は、これだけあるのよ。あの敗戦は、100回に一回あるか無いか、それがたまたま起こってしまっただけ」 豊嶋に笑みが浮かぶ。しかしその笑みは、凄惨さを湛えていた。川部は激しく反論する。 川部雪江 「違います。今日は負けてしまいましたけど、私はあのとき以上にその差を詰めた確信を持ちました!それは、負けても、それを間違いだとは思わず、自分の糧にしたからです! 私に一度負けたくらいで、後ろ向きになってリベンジを果たそうとしている豊嶋さんとの差は、縮まっています!」 豊嶋奈美 「後ろ向き…。そう、確かに言われてみれば、後ろ向きな感情だったのかもしれないわね……。あれくらいのことでファニーウイングスに入っちゃうだなんて。間違っていたのかもしれないわ」 川部雪江 「そうです!さあ、私と一緒に!また、正規軍として、WWPLを引っ張っていきましょう!」 豊嶋奈美 「なんて、ね」 川部雪江 「え?」 理解できない、という表情の川部。豊嶋は、やれやれと肩をすくめる。そして。 豊嶋奈美 「冗談よ?」 この日、一番の笑み。満面の。しかし、だからこそどす黒く見える―― 川部雪江 「あ…あああ………」 口をぱくぱくと開閉するだけで声のでない川部を一瞥し、豊嶋はREIKO達ファニーウイングスの面々とハイタッチを交わす。そして、笑い声を残して、ファニーウイングスは退場していった…。 コメント: |