1月19日(水) 徳島県アスティ徳島 | ||
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興行開始前、ディアナを除いたファニーウイングスの4名がリングに上がってくる。 REIKO 「ごめんね〜。ジュニアベルト結局取り返せなかったわ」 ソーニャ 「別に構わないわよ。どうせ封印されるベルトでしょ」 REIKO 「それもそうね。さて結梨花、ウェルター級のベルト、ちゃんと取ってきたわね」 鬼姫結梨花 「はいはい〜、この腰にしっかり巻いてきましたよー」 REIKO 「ちょっとは使えるようになったわね。まあ、あんなぬるい試合してる連中から取ってこれないようなら追い出してたところだけど」 鬼姫結梨花 「うお、危なかった」 REIKO 「さて、これ、今日のカードなんだけど…」 そう言って本日のカード編成が書かれた紙を閉じたクリップボードを取り出す。 |
MARINA | vs | 西園寺京 |
支倉千代 霧島杏子 |
vs | 長宗我部美幸 沢田ちひろ |
MACHIKO 香取梢 |
vs | 鬼姫結梨花 LINA |
デビル・メイガス 華山麗子 |
vs | キャノンボール焔 マンティス笹倉 |
久保渚 オリビア 刹那 |
vs | レミー・シュナイダー セラフィム・レイ 青柳つかさ |
松井香織 カーシャ・イワノヴナ |
vs | 望月登子 アメリア・カペロマン |
スペル・メイガス爆裂7番勝負 | ||
スペル・メイガス | vs | ラブリーベル |
豊嶋奈美 川部雪江 |
vs | REIKO ソーニャ |
REIKO 「却下」 カード編成表に大きく×を書き込みながらの一言に、会場はとまどいのざわめきに包まれる。 REIKO 「あたしがもっと面白いカード編成を考えてきたから、今日はこっちで行くわよ」 そしてスクリーンに表示されたのは、メイガス7番勝負以外全て書き換えられたカード編成表であった。 その横暴に、川部雪江とMACHIKOが飛び出してくる。観客の声援を受けてREIKOと対峙する。 川部雪江 「何を勝手なことをしてるんですか! そんなことは許しませんよ」 REIKO 「あんたの許しなんかいらないわよ」 MACHIKO 「そもそもなんの権利があってやってるわけ?」 REIKO 「権利?権利ならあるわよ。WWPL全てのベルトを握る最強軍団、ファニーウイングスのリーダーだもの」 ざわめきが大きくなる会場。 MACHIKO 「はあ? 8月に、ソーニャが豊嶋さんにベルト取られたこと忘れちゃったわけ? もうそんな年齢だったっけ? それにあんた自身が挑戦して負けてるじゃない」 REIKO 「やだやだ、現実に目を向けないバカが増えたかしら? あんた見所があるからウチに誘ってあげようと思ってたんだけど、白紙にするわよ?」 これにはぎょっとした様子でMACHIKOをみる川部だが、MACHIKOは泰然と構える。 MACHIKO 「お断り。私は雪江に恩があるの。あんたの下につくつもりはないわ」 REIKO 「ウチに来れば凶器使いたい放題だといっても?」 この言葉にますますあわてる川部。 MACHIKO 「くどい」 REIKO 「あんまりチャンスが来ると思わないことね」 川部雪江 「それより、全てのベルトを握るって…豊嶋さんの家に泥棒に入ったんじゃないでしょうね!」 笑ってはいけないのだが思わず笑ってしまう観客達。気付いた川部はやや頬を赤く染める。 REIKO 「あはははははは! あんたいいボケしてるわ。レスラーやめて漫才師になったら? 今お笑いブームでしょ…あはははははは!」 川部雪江 「な、何がおかしいんですか!」 REIKO 「こういう事だって言ってるのよ!」 すると、会場に鳴り響くQueen of Queens。豊嶋の入場曲である。 いつもと変わらぬ堂々とした入場。その腰にはWWPLを象徴する青いベルト。 しかし、その姿は。いつもの黒ではなく。真っ赤なコスチュームに包まれていた。 川部雪江 「豊嶋…さん?」 呆然とつぶやく川部。悠々とリングインした豊嶋は、その川部の隣に立つ。 ほっとしたような表情の川部は、勝ち誇った様子でREIKOに向き直る。 川部雪江 「何がベルトの独占ですか。こうやって豊嶋さんは私達の…」 REIKO 「これからよろしくね、チャンプ」 川部の言葉を遮って豊嶋に右手を差し出すREIKO。 豊嶋は、その手を…握った。 会場は怒号と悲鳴に包まれる。 川部雪江 「豊嶋さんっ!?」 MACHIKO 「REIKOぉぉぉっ!」 豊嶋にすがりつこうとする川部、REIKOにつかみかかろうとするMACHIKO。 しかし川部にはその妹である鬼姫結梨花がラスト・インプレッションで。MACHIKOにはLINAがトラースキックで、それぞれカウンター。やりとりの間にリングの下までやってきていた松井、カーシャらの正規軍、ラブリーベルらトリコロールも色めき立ってリングに入ろうとする。しかし正規軍の前にソーニャが、そして…トリコロールの前に、リングに飛び入った望月が立ちはだかる。 ラブリーベル 「なんのつもりですか望月さん!まさかあなたまであのような方々と…!」 望月登子 「REIKO、約束は守ってくれるんだろうな。あたしが満足いく試合を組んでくれるって」 REIKO 「もちろん。あたしたちとも存分に戦わせてあげるわ。だから、交換条件として協力してもらうわよ」 望月登子 「ああ。あたしらは『敵対する同盟者』でいいんだな」 REIKOは頷くと、大きく手を広げる。 REIKO 「今この瞬間から!このWWPLはファニーウイングスが最高権力者よ!文句がある奴はかかってきなさい! 叩き潰してあげるから! あははははははははは!」 ひとしきり笑い声を響かせたREIKOは、呆然とする正規軍やトリコロールを尻目に悠然と姿を消していった。 のろのろとリングに上がった川部は、自分に活を入れるように自らの頬を張ると胸を張ってマイクを握る。 川部雪江 「このまま…このまま引き下がるわけにはいきません。それに、REIKOさんは墓穴を掘りました。今日のメインイベントをみて下さい。私と豊嶋さんのシングルになっています。豊嶋さんのタッグ下手を知っていてシングルを組んだのでしょうけれど…これを突破口にして見せます。今日勝って、無差別シングルに挑戦します!せめて一本でもベルトを取り返せば、大きな顔をさせずにすむはずです!みなさん、応援よろしくお願いします!」 会場が一体になって川部に大歓声を送る。川部は深々と礼をしてMACHIKO達と共に引き上げていった。 |
■第1試合 | ||
○青柳つかさ | vs | 香取梢× |
12分12秒、片エビ固め:無双乱舞 | ||
混乱醒めやらぬ中で開始された第1試合。香取はこの雰囲気にやりづらそうであるが、しかし青柳は知ったことかと空手技で香取を追いつめる。全くペースをつかめない香取はそれでも気合いの声と共にDDTを連発したが、それが最後の踏ん張り。青柳の無双乱舞に沈んだ。 コメント: 青柳つかさ 「ファニーウイングス?だからどうしたの、あたしに何を言わせたいって言うのさ。ま、虎の威を借る狐…いや狐どころか犬コロ程度か、権力者にしっぽ振ってるって意味じゃ…まあそういうのに対してビシッと行くことはあるかも知れないわね。あたしは目的のためには手段は選ばない…覚えておくことね」 香取梢 「無様な試合をしてしまいました。お客さんに申し訳ないです。こんな事じゃプロなんて名乗れませんよね。……でもだからって、あんな自分勝手な人たちにWWPLをいいようにはさせませんから。わたしだって正規軍の一員です、ファニーウィングスにもブラッディコネクションにも、これ以上好き勝手な真似はさせません !!」 |
■第2試合 | ||
長宗我部美幸 ○MARINA 沢田ちひろ |
vs | 西園寺京 支倉千代 霧島杏子× |
10分57秒、ダイビングヘッドバット | ||
西園寺京 「やってくれるやんファニーウイングス。だけど、このカードは思いっきり不満やわ。なんでうちが霧島と組まないかんの!こんな出戻りの裏切り者と…」 と、マイクで霧島への不満をぶつけようとする西園寺にすっと近づいた長宗我部はなんといきなりスモールパッケージホールドで西園寺を丸め込む。レフリーの手が三つマットを叩いてしまったが… 西園寺京 「ちょっと待ちや!まだゴング鳴ってへんから!」 確かに開始ゴングはまだ。ここでようやく思い出したように試合が始まるが、西園寺は全く試合に参加しようとせず支倉と霧島は3対2のハンデ戦をやっているような状態。さらに長宗我部はロープワークの時に転倒すると、どう見ても自分からだったはずなのに場外にいる西園寺がやったとレフリーにアピール。レフリーが後ろを向いている間に長宗我部のモンキーフリップ、沢田のセントーンで攻められる霧島。そして長宗我部がレフリーを振り向かせたところでMARINAのダイビングヘッドバットが決まり、試合が終わった。 霧島、支倉と西園寺が揉めている中ところで突然鳴り響く「Bloody Tears」。そしてスポットライトが当たった先には何とDIA-Jのスラッシャーニタの姿が。今までWWPLと何の繋がりもないニタの突然の登場に場内がどよめく。 スラッシャーニタ 「ちーっと邪魔するぜ。あたいのことを知らない不勉強な奴もいるかも知れないから自己紹介。DIA-Jのスラッシャーニタ様だ。わざわざ徳島まで来てやっんだからありがたく撮影しとけ。」 と言いつつ、手を頭に置いてクネクネと腰を振って怪しげなポーズをとる。 スラッシャーニタ 「さてと・・・あたいもレスラーだけど今日ここに来たのは乱入じゃなくて、もう一つの顔大日本女児塾のプロデューサーとしてだ。以前ここからとある右翼レスラーに来てもらったんだがちょっと帰るのが早くてさ。で、そこの相撲取り!お前のパートナーの働きがちーっと悪かったから、穴埋めしてくんねーかな?」 ビシっと支倉に向けて指をさすニタ。どうやらスポット参戦を要求しているらしい。何だか理不尽な要求をしているが、邪道節は続く。 スラッシャーニタ 「あとね・・・WWPLって田舎の団体だよな?田舎は良いよな〜。何せ客を大事にする。遠方よりはるばるやってきた奴には大抵土産をつけてくれるよな」 と、いきなりの暴言。そして芝居がかった様子でWWPLの選手を見渡す。 スラッシャーニタ 「いるいる・・・安くてオイシイ奴が。それは長宗我部とMARINA。お前等2人だ!土産としてもらってくよ。そっちにも良い話だろ?違う可能性を見つける手助けをしてやろうってんだ」 長宗我部は相変わらず焦点の合っていない視線でニタを見つめ返す。MARINAは困った様子である。 MARINA 「あうう、勝手に決められても、困ってしまうのです」 スラッシャーニタ 「ふふん・・・即答が無理なのは分かった。反則偽称に石頭・・・果たしてうちのリングでも通用するかな?」 ニヤリと笑って去っていくニタ。すると、黙っていた長宗我部がマイクを取る。 長宗我部美幸 「お誘いを断るのは失礼だと思いますので、MARINAさん、お言葉に甘えておじゃましましょう」 MARINA 「ええ〜っ? 勝手に決めてしまっていいのですか?」 長宗我部美幸 「勝手に決めてしまったらいけないのですか?」 MARINA 「あうう、そういわれると、よく分からないのです。長宗我部さんにお任せするのです」 長宗我部美幸 「それでは、一緒に塾へお出かけしましょう」 コメント: 西園寺京 「霧島もニタも長宗我部も、どいつもこいつも気にくわないことばかり!」 霧島杏子 「翔子先輩・・・来たんですね。できれば来ないで欲しかったんですけど。西園寺さんは、タッグを組んだ以上は責任を果たして欲しいものです。それと千代さん、がりー(じゃこ天・舞:大日本女児塾)の沖縄料理とミユッキー(カイザー・美幸:同)の白味噌ちゃんこは絶品ですのでぜひ食して下さいね」 支倉千代 「杏子さんの敵討ちができるというのなら喜んで乗り込みますよ。試合もちゃんこも楽しみにしておきます」 |
■第3試合 | ||
オリビア ○刹那 |
vs | 鬼姫結梨花 LINA× |
13分9秒、クリムゾンクラッチ | ||
鬼姫達の入場途中を襲うオリビアと刹那。ゴング前からいきなりの場外乱戦となる。この中ではキャリア、実力共に劣るLINAが一方的にやられる展開となってしまい、鬼姫も苦しくなる。最後は場外でオリビアが鬼姫とやり合う間に刹那がLINAからギブアップを奪った。 オリビア 「なんや、偉そうなこというといてファニーウイングスはこの程度かいな! 所詮お前らはファニーウイングスのお荷物やから、な! 何がウェルター級チャンピオンや! 猫に小判、豚に真珠とはこのことやな」 鬼姫結梨花 「口だけは達者じゃないこのバカウサギ! ブラコネ風情が何を吠えたって何も変わらないよ。お前達なんかREIKOさんは歯牙にもかけてないんだからな!」 オリビア 「REIKOさんREIKOさんか! お前REIKOがおらんとなんも出来へんやないか! そんなガキが何を偉そうに言うとんねん」 鬼姫結梨花 「偉いに決まってるでしょ。このわたしは、ウェルター級チャンピオン、ナチュラルボーンスターの鬼姫結梨花だからね! 悔しかったら挑戦してくる? いつでも受けて立つよ!」 オリビア 「そんな雑魚ベルトに興味あるかい!」 鬼姫結梨花 「無差別に挑戦する度胸もない奴が吠えるな!」 ここでつかみかかっての乱闘になりかけたが、刹那とLINAが双方を抑えてこの場はひとまず収まる。しかしマイクを離してもお互い罵り合いながらの退場となった。 コメント: オリビア 「あいつが何を言おうと今日はうちらが勝っとるんや。結果が全てや」 鬼姫結梨花 「オリビアが何を言っても、ウェルター級チャンピオンはこのわたし!悔しかったら取ってみろ!」 |
■第4試合 | ||
久保渚 ×デビル・メイガス 華山麗子 |
vs | MACHIKO キャノンボール焔○ マンティス笹倉 |
16分00秒、体固め:キャノンボールバスター | ||
久保のダブルラリアットにはじき飛ばされる焔と笹倉。さらにデビルと華山が追い打ちをかけようとするが、MACHIKOが卍コブラでデビルと華山を1人で固めてしまう。そしてアンバランスが二人がかりで久保へ反撃して行き流れをつかむ。そしてMACHIKOが久保を、笹倉が華山の動きを封じる間に焔がデビルをキャノンボールバスターでピンフォール。 コメント: キャノンボール焔「ん〜、何かごたごたしてるみたいだけど私達には関係無いっ! 誰であろうと、目の前の相手を倒すのみっ! 今日みたいにねっ!」 マンティス笹倉「ん、まぁ。今日ン変更は卍コブラとかば特等席で見られたけん良しとしときますわ。こん後がどうなるかはまぁ、お手並み拝見言うトコで」 |
■第5試合 | ||
望月登子 ×アメリア・カペロマン |
vs | レミー・シュナイダー○ セラフィム・レイ |
13分29秒、両手フォール:カリビアンスプラッシュ | ||
望月は積極的にシュナイダーに向かっていき、何度も蹴りを放つ。激しいキックに膝を付くシュナイダーへ望月は正面からサッカーボールキックでその胸板を打ち抜き、シュナイダーは大の字でマットに倒れ込む。さらにシュナイダーを起きあがらせようとする望月だが、レイがミサイルキックでカットする。レイとカペロマンは素早い切り返し合戦。先手を取って丸め込んでいったのはレイだが、カペロマンが的確に押さえ込み返す。しかしレイのロコモーションダブルアームスープレックスをまともに受けてしまったカペロマンはさすがにふらふらに。望月がレイを蹴り飛ばしてカットする。カペロマンはシュナイダーのパワーボムもウラカン・ラナで切り返そうとするが、シュナイダーは腰を落として回転させず、再び抱えなおしてパワーボムへ。最後は女帝が雪崩式のクロスアームスープレックスでカペロマンを沈めた。 コメント: |
■第6試合スペル・メイガス爆裂7番勝負第1戦 | ||
×スペル・メイガス | vs | ラブリーベル○ |
22分1秒、ラブリーロック | ||
スペル・メイガスのチャレンジマッチ、爆裂7番勝負が始まった。一番手はチーム・トリコロールのメンバーとして行動を共にしているラブリーベルが相手。パワーと空中殺法の両立というスタイルが似ている両者の戦いはまずがっちり組み合っての力比べからスタート。10キロ近い体重差にも負けずベルを押し込むメイガスだが、ベルはふっと力を抜いてメイガスのバランスを崩し、アームドラッグで放り投げる。起きあがったメイガスをロープに振ったベル、リープフロッグで飛び越し、その開脚したままマットへぺたりと張り付く。ステップを狂わされたメイガスへ、ベルの長い足がドロップキックで襲いかかる。 メイガスもケブラドーラ・コン・ヒーロやサイドスープレックスで反撃の糸口をつかみ、五分の試合が展開される。しかし10分を過ぎてベルがジャベを披露し始めると、メイガスはそのあり地獄に引きずり込まれてスタミナを消耗。メイガスもロゼッタストーンを極めてジャベに対応できるところも見せたが、次々と繰り出される無名ジャベの数々には徐々についていけなくなる。そこで距離を取ったメイガス、メイガスボンバーを前後から放ってベルの動きを止めると、コーナートップからの前方回転ミサイルキック、ミラクルくるくるキックでベルを蹴り飛ばしフォールへ。ベルはフォールをブリッジで返すが、メイガスは再びメイガスボンバーを放つ。ベルはこれをなんとブリッジで避けるとそのまま体を起こし、フライングニールキックを放つ。そしてダウンしたメイガスへエンポリオ・アルマニッシュ、アルマニッシュ・エクスチェンジ、そしてラブリーロックの必殺フルコースでギブアップを奪った。20分を超える試合に決着をつけたベルはゆっくりと立ち上がり、マイクを要求。 ラブリーベル 「なかなかの頑張りでしたわね。ですがわたくしもまだまだ負けるわけにはいきませんの。あなたがもっと強くなったときに、またシングルでぶつかりたいものですわね」 コメント: スペル・メイガス 「やっぱり強いし上手いですねっ。悔しいですけど、トリコロールの中でも『ベル様>レイちゃん>>>ボク』くらいの格付けがあるでしょ?今日はそれを変えたかったんですけど・・・ボク的にこの七番勝負のテーマは『下剋上』なんで、いい試合以上に結果を出せるように、次からももっとがんばりますっ!ばぁく!れぇつっ!」 |
■第7試合 | ||
×REIKO ソーニャ |
vs | 松井香織○ カーシャ・イワノヴナ |
17分23秒、ジャパニーズレッグロールクラッチ | ||
カーシャがスピードのあるサブミッションでREIKOの膝を狙っていく。最近特にキックを多用するようになっているREIKOの武器を奪いに行くカーシャ。松井も当然のごとく合わせて膝狙いで攻め立てる。ソーニャはREIKOをフォローしてスープレックス中心に松井を攻めていくが、松井のねばり強さの前に決定打を与えられない。松井の雪崩式ドラゴンスクリューから膝十字へ繋ぐ必殺の膝殺しを受けたREIKOを助けようとしたソーニャを、カーシャが旋風脚で迎撃。REIKOはそれでもロープへ逃げるが、直後背後から組み付いた松井がジャパニーズレッグロールクラッチでフォール。REIKOはキックアウトする余力がなく、3カウント。 松井香織 「おやおや、最高権力者様がこのざまとは笑えるね」 REIKO 「ふん、タイトル持ってない私から取ったっていい気にならないでくれる? 先月タッグタイトル戦で勝てなかった奴がこんなところで勝って意趣返しとは、笑えるわね」 松井香織 「おや、つまりお前はチャンピオンの威を借りる狐ってことか。それでリーダーとは聞いてあきれるよ」 REIKO 「何を言ったところで、重要なのはタイトルなのよ。ウェルターなんかは所詮おまけだけど、無差別の合計3本がこっちにある限り、ファニーウイングスの立場は鉄壁なんだから。悔しかったらベルト取ってみたら?」 お互い引かない舌戦は、やがて睨み合いとなる。どちらからともなく視線をはずした両名は振り返ることなく引き上げていった。 コメント: カーシャ・イワノヴナ 「豊嶋さんがFWに流れたのは意外ですけど、豊嶋さんの相手をするのは川部さんでしょうから、私は私のやるべきことをやればいいと思っています」 REIKO 「言ったとおり、ベルトが全て。権威を握っているのは私たち。こんなところでの負けなんて、痛くもかゆくもないわ」 |
■第8試合 | ||
○豊嶋奈美 | vs | 川部雪江× |
19分5秒、ロッキーフェイスボトム | ||
昨年行われたVWGPの決勝戦。その組み合わせがこの二人、豊嶋奈美と川部雪江であった。その時の勝者は川部。国内のヘビー級選手が集まる第2回VWGPを制し、さらにストーム水戸が持つ四冠ヘビーをも奪い取った川部。豊嶋は初代四冠王者にして、現WWPL無差別級シングルの保持者。その二人が今は敵味方に分かれ、いきなりのシングルマッチで激突する。 ボディスラム一発、ドロップキック一発から重く激しい一撃を放っていく豊嶋。川部もエルボー、膝蹴りで迎え撃つ。川部はカウンターでランニングネックブリーカーを決めると、素早く背後を取ってスリーパーで豊嶋の体力を奪っていく。フィニッシュを取るスリーパーではないが、スタミナを奪われて徐々に力が抜けていく豊嶋はなんとかロープへと足を伸ばし、ブレイク。立ち上がる両者、先に動いた川部が豊嶋に組み付くが、豊嶋は川部の腕を取って素早くJ.O.スープレックスで放り投げる。カウント2で川部が返すと、さらに豊嶋はムーンサルトプレスを放つ。強烈な重爆攻撃も川部は肩を上げる。ミサイルキック狙いでコーナーに上がった豊嶋の腕を取った川部は雪崩式一本背負い。そして高角度脇固めを仕掛ける。完璧に極まった脇固めにギブアップ寸前の豊嶋だったが、なんとここで鬼姫が乱入して川部にストンピングを仕掛けて技をはずさせる。レフリーが鬼姫に注意を与えるが、レフリーの注意が川部からそれた隙に豊嶋は立ち上がる。川部、それならばとランニング掌底を放つために豊嶋をロープへ振る。しかし豊嶋、これをサーカス級の大技、ロッキーフェイスボトムで切り返して丸め込んでいく。豊嶋の切り札に川部は痛い敗北。 川部雪江 「豊嶋さん、これがあなたのやりたかったことですか! 乱入の力を借りるなんて、あなたらしくありません!」 豊嶋奈美 「私はね。負けるのが嫌いなの。誰よりも。世界中の誰よりも、敗北することが嫌いなのよ。雪江、私は、あなたより私の方が強いことを、上であることを、勝者であることを実感するために、ファニーウイングスに入ったわ。私らしさというものがあるとすれば、それは勝者であること!それが唯一にして絶対!」 川部雪江 「それでも、間違ってます!」 豊嶋奈美 「間違い?私は今日こうして3カウントを取れたわ。私が正しかった証拠でしょう?」 川部雪江 「違う…違う…! いつもみたいに、冗談よ?って、言ってください!」 豊嶋奈美 「今日はまだ始まったばかりだから、ここで引いてあげる。でも、忘れないことね。私が、何故ファニーウイングスに入ったのか。その理由をね…」 これがつい先日までWWPLの絶対エースと呼ばれていた豊嶋かと思えるほど冷たい視線と態度。黒き天女は深紅の魔女となり、会場に静けさを残して立ち去った。 豊嶋が退場するとそれに入れ替わるようにソーニャがコーナーに上がってマイクを持つ。 ソーニャ 「興行開始前に大きなこと言ってた割には、しまらない結末ね」 川部雪江 「……何の用ですか、ソーニャさん」 ソーニャ 「そうね、用ならあるわね。単刀直入に言うわ、あんたの持ってる四冠、わたしによこしなさい」 川部雪江「……な?!」 ソーニャ 「わたしも無差別級シングルの奪還は当然狙ってた訳だけど、トヨシマが正規軍にいるならともかく、今の状況じゃ空手で挑戦するわけにも行かないじゃない? 四冠なら手土産にちょうどいいわ。大体、今のユキエが持ってたって何の役にも立たないでしょ」 川部雪江 「ふざけないで下さい!!」 ソーニャ 「あら、わたしは真面目よ。それとも、仮にも正規軍トップの位置に立ちながら、王者として挑戦者を迎え撃つ覚悟もできないのかしら」 川部雪江 「覚悟の問題じゃありません!四冠を、そんな手みやげ程度にしか考えていないような人に挑戦させたくないだけです!」 この話は終わりだ、というように背を見せて立ち去る川部。その拳は悔しさを押し殺すようにきつく握りしめられていた。 コメント: 豊嶋奈美 「時間をかけて分からせてあげます。最強の名を持つにふさわしい人間は、私であるということを…」 |