8月5日(木) 鳥取県カニ市場ビアガーデン
 第1試合前にファニーウイングスが登場。他のメンバーをエプロンに残してリングに入ったソーニャがマイクを持つ。
ソーニャ「さてと、いろいろ期待されてるみたいな無差別級シングルの挑戦者なんだけど……はっきり言わせてもらうと、わたしのほうから挑戦者を選んであげるなんて事をする気は無いわ。ベルトが欲しいなら、自分の力でここまでたどり着いて見せなさい。名乗りを上げるなら、WWPL最高のベルトへの挑戦者にふさわしいことを、自らの力で証明しなさい。そうでなきゃ……わたしだって燃えられない」
 そう言ってソーニャは、観客席をぐるりと見回した後に、本部席に視線を投げかける。
ソーニャ「方法は任せるわ。わたしにもっともふさわしい挑戦者を17日までに決めて見せなさい。誰が相手でも最高の試合で迎え撃ってあげる」
 すると、本部席にいた太田垣社長が立ち上がる。
社長 「自力で勝ち上がる、という言葉にふさわしい決定方法があります。お分かりでしょうが、トーナメントです。豊嶋奈美、松井香織、ラブリーベル、ロナ・ヴァン・ダムの4名には挑戦権をかけてもらいます。ソーニャ選手、依存はありませんか?」
ソーニャ 「任せるわ」
社長 「それでは、今呼んだ4名、入場して下さい」
 入場を促した社長はスタッフに声をかけると、リングイン。4名の選手がリングに上がる頃、スタッフがロープを担いでそれを中央に置く。ロープの中央部分には布がかけられ、端だけが見えている。
社長 「ここに二本のロープがありますが、この4つの端のうちどれとどれが繋がっているかは分かりません。各自好きなロープを握って下さい。そして、合図と共に引いてもらいます。同じロープを握っていた選手同士が、一回戦の対戦相手となります」
 説明を受けてすぐに動いたのはロナ。一番近くにあった端を無造作に掴む。そしてベル、豊嶋、最後に松井がそれぞれ端を選び、握る。
社長 「では、引いて下さい!」
 勢いよく引っ張られたロープ。二本がピンと張られたその先に対峙していたのは。
社長 「一回戦第1試合、豊嶋奈美vsロナ・ヴァン・ダム。一回戦第二試合!松井香織vsラブリーベル。以上のように決まりました。一回戦第一試合は、本日のメインイベントとして行います!」
 歓声を背に、ソーニャへ待っていろ、とばかりに鋭い視線を送るロナ。その相手となる豊嶋の口元には獰猛な笑みが浮かんでいた。そして、リングアナが第1試合コールのためにリングにはいると、それぞれは思惑を胸に、引き上げていった。
第1試合
鬼姫結梨花 vs 支倉千代×
9分53秒、ムーンサルトプレス
 支倉のダイヤモンドカッターDADADA、ケミカルアンカーなどのブレイク工業アタックに苦しむ鬼姫。しかし鬼姫はサミングからのフェイスクラッシャーから攻めに回り、ムーンサルトプレスで勝負あり。

コメント:
鬼姫結梨花 「まじめくさったファイトよりこういう方がやりやすいね。楽しい楽しい」

支倉千代 「残念、今日もブレイクできませんでした。1日でも早くブレイクしていです」
第2試合
長宗我部美幸
沢田ちひろ
vs 白鳥由帆
小笠原幸子
8分2秒、両者リングアウト
 体格差から、白鳥のスープレックスで面白いように放り投げられる長宗我部と沢田。それでも沢田のみかん攻撃や長宗我部のジャベなどで対抗。小笠原の背負い投げを受けた長宗我部は場外に転がり落ちる。落ちたまま動かない長宗我部を不審に思い、それを追って場外へ出た小笠原だったが、近づいたとたんに起きあがった長宗我部に背後を取られる。そのまま場外で20カウントが数えられるまでローリングクレイドルで場外を転がされてしまった。

コメント:
白鳥由帆 「リングの周りをうまく転がるなんて、なんて器用な…」

長宗我部美幸 「回転に興じてしまいました」
第3試合
マンティス笹倉
○キャノンボール焔
vs 香取梢
MARINA
×
9分18秒、片エビ固め:エルボーキャノン
 小柄同士の対決で焔と香取がやり合う。全身の瞬発力を使ったエルボーで焔が押し勝つ。MARINAも頭突きで対抗するが、焔のエルボーキャノンと相打ち。肘を押さえつつ先に立て直した焔がフォールして3カウント。

コメント:
キャノンボール焔 「瞬間的なパワーなら私の方が上だし、頭突きも肘一つで止まるなら問題なしっ! ・・・んっ?! 以前にも似た様な事を言った気がするけど、とにかくそういう事っ!!」
マンティス笹倉 「まっ、今日ンとは張り切った相棒に任せぇの、フォローに徹すりゃ良かったですけん。ホンマ楽ぅ出来ましたわなぁ〜」

香取梢 「実力では互角だったと思いますけど、連携で遅れを取ってしまいました。MARINAさんのいいところも引き出せませんでしたし。やっぱり長宗我部さんを見習うべきなんでしょうか。でもそれも何か間違っているような気がします……」
第4試合NWWA認定JFタッグ
王者組
スペル・メイガス
清水楓
vs 挑戦者組
LINA×
あんず
14分26秒、フェニックス・スプラッシュ
 LINAと対峙する清水がロープリバウンドを狙ったところ、鬼姫が場外から足を引っ張って転倒させる。そこにLINAのエルボードロップが追いうち。この手出しに、メイガスが鬼姫に文句を飛ばし、あんずもLINAにつめよる。LINAに不信感を持ってしまったあんずのため、挑戦者組は連携が取れない。ZOOMに押し切られてしまい、フェニックススプラッシュで抑え込まれたLINAをあんずも必死には助けようとせず、3カウントが入ってしまった。

コメント:
清水楓 「信頼のおけぬものをパートナーとしてしまった時点で、拙者達の勝利は決まっていたのでござるよ」
スペル・メイガス 「悪に染まった者達に明日はないっ!正義を貫いたものが勝つっ!・・・というわけで、次の挑戦者にはREALの佐藤さん、Erikaさんを指名しちゃいますっ!が、誰が相手だろうと防衛してみせますっ、間違いないっ!」

LINA 「まったく、きりりも頭が固いんだから。使えるものは親でもレフリーでもセコンドでも使えばいいのよ。それを真面目腐ってピンチを招くなんてバカ丸出しだね」
あんず 「きりりじゃなくてあんずです。名は体を表すと言いますが、せっかくの「三嶋理奈」という誇り高き名を受けていながら「LINA」とは・・・名前同様、堕ちて行くのがあたしには見えます。」
 試合のコールを受けてから初めて三嶋リナからLINAになったことに気づいたあんずは、LINAの試合運びもあいまって怒り心頭の様子だった。
あんず 「というわけで、新しいパートナーを探さないといけないのですが、凄く良い名を見つけました。支倉さんですよ。千代に八千代にですよ。細石の巌となりそうです。ええ、苔の生すまでのお付き合いができそうですよ。」
 怒りのあまり最後はやや錯乱気味だったが、次は名前でパートナーを決めた模様だ。
第5試合
×ラブリーベル
カーシャ・イワノヴナ
vs 高村あかね
望月登子
12分33秒、ファイヤーボンバー
 カーシャは積極的に試合の流れを作ろうと動いていく。開始直後こそ動きのキレを活かしてESと五分に渡り合っていたが、場外戦になると一変。望月の鉄柱攻撃でふらついたカーシャを、高村が椅子の山へパワーボム。ベルは鞭によって望月の首を絞めるなど一歩も引かない戦いぶりを見せるが、二対一では押し切られてしまう。高村はリング上に机を持って上がると、その上でベルにファイヤーボンバー。机を完全に破壊した一撃でベルを沈めた。

コメント:
高村あかね 「次はシングルでもいいよ。直接取ったんだから、あかねにも無差別取れるってことかな」

望月登子 「個々の力はともかくタッグで相手にはならないね」


ラブリーベル 「さすがにESのお二方ですわ。少々優雅さにかけるのが問題ですが、その力は認めましてよ。おーっほっほっほ!」
カーシャ 「ううっ、ESのお二人の攻めは相変わらず激しいです。一人で戦ってたベルさんに申し訳がないです」
第6試合
坂倉宏子
ブラック・ヴァルキリー
セラフィム・レイ
津上美紗
vs MACHIKO
華山麗子
オリビア
刹那
×
15分39秒、反則
 舞闘姑娘は早い段階でレフリーに注意を促すことでブラコネの動きを牽制。リング上での戦いになるようにコントロールしていく。仕方なく正面から戦うブラコネは華山が捕まって攻められる。それでもMACHIKOが華山を救出し、オリビアと刹那が中心に戦っていく。ところがこのあたりから徐々にオリビアと刹那が暴走。そしてとうとうレフリー無視で試合権利を持っていたブラックを二人がかりで襲い、合体パワーボムからバビロン、そしてマスク剥ぎにかかる。これを止めようとしたレフリーに刹那がキングコングラリアットを放ってしまい、ブラコネの反則負け。
 裁定を無視して更に暴れようとするオリビア達だが、なんとこれを制したのはこの日試合に出ていない渡部。そして渡部は衝撃発言。
渡部巴 「ったくもう、あたしがこんなチームにいるなんてのはあたし自身のイメージダウン甚だしいわね。Bコネだったころはよかったんだけど…MACHIKO、あんたのやりたいことはあたしの感性に合わないのよね。悪いけど…辞めるわ」
MACHIKO 「へぇ、それでどうするつもり?ベルと合流して二人でBコネ残党でもやる?それとも正規軍?まさかファニーウイングスに行ってREIKOにしっぽ振るとか言わないわよね〜?」
渡部巴 「聞こえなかった?辞める、っていったんだけど。プロレスをね。もうやりたいことはないからね。これからは芸能界から、あんたらブラコネのダメっぷりを見物させてもらうわ」
 これには会場のファンから惜しがる声が聞こえる。
渡部巴 「そういうことだから、これからはプロレスラーじゃない、芸能人渡部巴をよろしくね〜」
 手を振って退場していく渡部。オリビアがその後ろ姿に悪態をついた後、ブラコネも引き上げていった。
オリビア 「色ボケなんぞ邪魔や。ブラコネにはいらんわ、勝手にせえ。すぐに消え去る三流タレントにしかなれんわな」


コメント:
オリビア 「小汚いマスクやったから、洗濯でもしたろうか思うたんやけどなあ。人の親切は素直に受けとっとくべきやでホンマに。渡部?知らんわ。ろくに話もしたことあらへんし」
MACHIKO 「やる気がないならいなくて結構。前からあの女は参謀気取りで気にくわなかったしね。清々するわよ」

セラフィム・レイ 「なんか持って行かれちゃったな〜。とりあえずあれだね、内部分裂とかしてるしまとまりがないし、ブラッディ・コネクションは長くないんじゃない?」
坂倉宏子 「これからは暴走かな。少しは気をつけなきゃね」
ブラック・ヴァルキリー 「終わってる相手とだらだらやっているのは時間の無駄ですね」
第7試合
×REIKO
ソーニャ
ディアナ
vs 川部雪江○
松井香織
芹沢すずな
23分44秒、レフリーストップ:ホワイトアウト
 先発のソーニャが川部を呼び込み、川部もそれに応える。最初はにらみ合いから腕の取り合い、グラウンドでのポジショニング争いと静かな展開。各選手が一回り動いたあたりから徐々にヒートアップ。REIKOと芹沢の蹴りと空中殺法を主軸にした早い戦い、ディアナと松井のパワー合戦、川部とソーニャのサブミッション対決と、それぞれが得意分野でぶつかり合う。
 20分頃の場外戦でソーニャ、ディアナがそれぞれ松井、芹沢を羽交い締め。鬼姫とLINAがそれに対して椅子を振りかぶるが、松井も芹沢もそれを回避して誤爆を誘う。そしてうろたえる鬼姫とLINAへそれぞれの旋風脚が炸裂。そしてリング上では川部を押していたREIKOだが、キック・オブ・デスを受け止められてしまいそのまま足をコントロールされホワイトアウトへ。ギブアップしなかったREIKOだが、レフリーが危険とみて試合を止めた。

コメント:
REIKO 「あんたら、足引っ張ってどうすんのよ」
鬼姫結梨花 「しょぼーん」
LINA 「はいは〜い、反省してま〜す」
REIKO 「…見込み無しと分かったら放り出すわよ」
鬼姫結梨花 「任せて下さいって」
LINA 「同じ失敗を何度も繰り返すほど間抜けじゃありませんよ、私は」
ソーニャ 「試運転だし、こんなものでしょ。とはいえもう少し洗練された試合運びができないとファニーウィングスの名がすたるわよね、やっぱり」
第8試合無差別級シングル挑戦者決定トーナメント一回戦
豊嶋奈美 vs ロナ・ヴァン・ダム×
16分33秒、片エビ固め:J.O.クインビー・ボム
 いつも以上の迫力で重い一撃を放っていく豊嶋に、ロナの表情から余裕が消える。場外へ引きずり込んだロナ、ヴァンドミネイターを決めるものの豊嶋はすぐに立ち上がってくる。中盤はロナが猛攻を加えるが、そのたびに立ち上がる豊嶋。攻め疲れたロナにスープレックスやムーンサルトなどで反撃し、最後はクインビー・ボムで刈り取った。
 試合終了直後。参戦予定の無かった私服姿の荒谷紅美が本部席に現れ、マイクを掴む。
荒谷紅美 「よくよくできた団体だわね、WWPLってのは。無差別挑戦者決定トーナメント? ロナ以外は、自分とこの身内でお茶濁すって? ホント、おめでたいわ。それと、この間、私にフォール取られた人は誰? いい加減、逃げんじゃないわよ! 試合組め! ぶっ潰してやるよ!! 次から、上がるから。忘れんなよ!」
 そう言うや、荒谷が会場を後にした。


コメント:
豊嶋奈美 「借りは返しました。今回のきっかけはソーニャさんの指名によるものですが…ちょうど良い機会です、私のベルトを返して貰うことにしましょう。荒谷さんは…そうですね、タッグでの借りはありますし、まずはタッグでお相手させてもらいましょうか」